<新興国eye>トルコ9月CPI、予想上回る前年比61.5%上昇に加速―前月比は4.8%上昇に減速

新興国

2023/10/4 8:57

 トルコ統計局が3日発表した9月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比61.53%上昇と、前月(8月)の同58.94%上昇から伸びが3カ月連続で加速、22年12月(同64.27%上昇)以来の高い伸びとなった。市場予想と一致した。主にエネルギー、特に原油価格の高騰が要因。

 同国のインフレ率はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、21年6月(前年比17.53%上昇)から22年10月(同85.51%上昇)まで17カ月連続で急加速した。翌11月(同84.39%上昇)にようやく1年6カ月ぶりに伸びが減速に転じ、今年6月まで8カ月連続で減速していた。7月から加速に転じ、これで3カ月連続の加速となったが、市場では次回10月26日会合で過去と同規模の大幅追加利上げを予想している。

 他方、前月比(全体指数)は4.75%上昇と、8月の9.09%上昇を下回り、2カ月連続で減速した。夏の増税の影響が剥離したことが減速の背景。ただ、6月(3.92%上昇)以来、3カ月ぶりの低い伸びとなったが、依然、今年に入り4番目の高い水準。

 セクター別(前月比)では、教育が30.27%上昇(前月は3.11%上昇)と、最も高い伸びとなった。次いでアルコール飲料・たばこが10.03%上昇(前月比3.77%上昇)、天然ガス料金を含む住宅(光熱費や修理費)は5.76%上昇(同6.89%上昇)、家具・生活用品が5.22%上昇(同9.36%上昇)となり、全体の伸び(4.75%上昇)を上回った。

 このほか、レクリエーション・文化は4.66%上昇(前月比7.88%上昇)、運輸が4.35%上昇(前月は16.61%上昇)、ホテル・カフェ・レストランは4.15%上昇(前月比7.09%上昇)、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは3.94%上昇(7.55%上昇)、通信は3.57%上昇(同4.28%上昇)、ヘルス(薬局・美容)は3.39%上昇(同7.98%上昇)、食品・清涼飲料水は3.32%上昇(同8.48%上昇)。

 対照的に、アパレル・靴は2.59%上昇(同8.25%上昇)と、最も低い伸びとなった。

 他方、セクター別の前年比(全体指数)は、ホテル・カフェ・レストランが92.48%上昇(前月は89.31%上昇)と、最も高い伸びとなった。値上げが背景。次いで教育が80.96%上昇(同48.61%上昇)、ヘルスが79.79%上昇(同77.55%上昇)、運輸は76.06%上昇(同70.24%上昇)、食品・清涼飲料水が75.14%上昇(同72.86%上昇)、アルコール飲料・たばこが67.16%上昇(同51.98%上昇)、家具・生活用品が63.75%上昇(同58.85%上昇)となり、全体の伸び(61.53%上昇)を上回った。

 対照的に、住宅が20.16%上昇(前月は24.97%上昇)と、最も低い伸びとなった。次いでアパレル・靴が32.54%上昇(同31.1%上昇)、通信が46.59%上昇(同46.35%上昇)、レクリエーション・文化は55.43%上昇(同51.67%上昇)、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは59.38%上昇(同58.23%上昇)だった。

 他方、全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコアCPI(グループC)は前年比68.93%上昇と、7月の同64.85%上昇から伸びが5カ月連続で加速。22年10月(同70.45%上昇)以来、11カ月ぶりの高い伸びとなった。市場では24年4-6月期に同73%上昇でピークに達すると予想している。

 中銀は7月27日に発表した最新の7月四半期インフレ報告書で、23年末時点のインフレ見通し(中心値)を前年比58%上昇、24年末時点の見通しは同33%上昇、25年末時点の見通しを同15%上昇と予想している。

 また、中銀が9月15日に発表した市場参加者による最新の9月経済予測調査(月報)によると、23年末時点のインフレ見通しは前月(8月)の59.07%上昇から67.77%上昇に引き上げられた。引き上げは4カ月連続。2カ月前(7月)は43.82%上昇だった。1年後の見通しも42.01%上昇から44.94%上昇に引き上げられた。引き上げは4カ月連続。2カ月前は33.21%上昇だった。

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