【為替本日の注目点】米長期金利急低下

為替

サーチナ

2023/10/11 10:07

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 米長期金利の低下にドル円は東京時間朝方には148円16銭近辺まで下落。NYでは149円台に乗せる場面もあったが、上値は重く148円台半ばで引ける。ユーロドルは続伸し、1.06台を回復。米金利低下に素直に反応した格好。株式市場は3指数が3日続伸。中東情勢が不安定ながらも、米金利低下を好感し株式に資金が流入。債券価格は地政学的リスクを織り込む形で大幅に上昇。長期金利は4.65%台に急低下。金は3日続伸し、原油は反落。

マーケット情報

ドル/円 148.55 ~ 149.09

ユーロ/ドル 1.0575 ~ 1.0620

ユーロ/円 157.53 ~ 157.96

NYダウ +134.65 → 33,739.30ドル

GOLD +11.00 → 1,875.30ドル

WTI -0.41 → 85.97ドル

米10年国債 -0.148 → 4.653%

本日の注目イベント

独 独9月消費者物価指数(改定値)

モロッコ G20財務相・中央銀行会議(13日、モロッコ)

米 9月生産者物価指数

米 FOMC議事録(9月19-20日分)

米 ボウマン・FRB理事講演 

米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

米 ウォラー・FRB理事、イベントに参加

米 下院議長選挙の予定

加 カナダ8月住宅建設許可件数

 イスラエルがハマスに対する本格的な反転攻勢に出たこともあり、イスラエルとハマスの戦闘による死者数が計2000人に近づいている模様です。バイデン大統領は10日もイスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談し、その後ホワイトハウスで演説を行い、「イスラエルに軍需物資を送るほか、情報活動や軍事面での支援を行う」と表明しました。米国の市民14人ほどが殺害され、人質に取られた人もいると、国民に最新情報を説明しています。またブリンケン国務長官が今週イスラエルを訪問し、イスラエルへの「連帯と支持」を表明する模様です。一方、トルコのエルドアン大統領は、イスラエルとの連帯を示すために東地中海に空母打撃群を派遣する米国を「米国はイスラエルに空母を派遣している。米空母がイスラエルで何をするというのか」と批判しています。(ブルームバーグ)今回の軍事衝突はロシアとウクライナ情勢よりも深刻で、世界に与える影響も大きいと分析する専門家もおり、イランや米国を巻き込めば、「第一次世界大戦のように世界の国を次々と巻き込む可能性」を指摘する声もあります。米国にとってイスラエルは、ウクライナ以上に地政学的にも「重要な同盟国」であるようです。

 先週末のNYでは4.88%台まで急騰した後、4.8%近辺で引けた米長期金利は昨日のアジア時間には4.62%前後まで低下し、ドル売り円買いの手掛かりになりました。ドル円は東京時間の朝方には148円16銭前後まで売られましたが、NYでは金利低下はすでに織り込まれていたため、それ以上の円高は進みませんでした。ユーロドルは米金利低下により反応し、5日続伸し1.06台を回復しています。

 今や「ハト派」の代表的存在であるアトランタ連銀のポスティック総裁は10日、改めてハト派発言を繰り返しています。総裁は、「米政策金利はインフレ率を2%に押し下げるのに十分に景気抑制的な水準にあると私は考える」と発言。「これ以上の利上げが必要だとは実際思わない」と述べ、「景気見通しが予想外に変化した場合は利上げが必要になるかもしれないが、それは現時点で自身が予想するものではない」と付け加えていました。今月末のFOMC会合では「利上げは見送られる」との観測が徐々に浸透してきたせいか、軟調だった米株式市場はにわかに切り返してきました。その影響もあり昨日の日経平均株価もザラ場では800円を超える場面もあり、米国の金利低下傾向を織り込む動きになっています。ただそれでも現時点では、絶対的な日米金利差は縮まらないことから円が大きく買われる状況にはなっていませんが、為替も株も、「米金利の動き次第」という構図は続いています。

 予定では本日11日に下院で議長選挙が行われますが、米議会史上初となる下院議長を解任されたマッカーシー氏は、下院議長に復帰する用意があると述べています。マッカーシー氏は、議長選への立候補表明と受け止められないよう注意しながらも、自身が共和党下院議員96%の支持を得ており、「4%の共和党議員が民主党と協力し、議長解任動議を可決させたことは誤りだ」と強調していました。議長選には、下院共和党ナンバー2のスカリス院内総務と、トランプ前大統領の支持を受けているジョーダン司法委員長が立候補しています。一時は「トランプ氏を議長に」といった笑えない話もあったようです。

 本日のドル円は147円50銭~149円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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