【為替本日の注目点】米長期金利低下にもドル円上昇

為替

サーチナ

2023/10/12 10:16

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は再び149円台に入り、NYでは149円33銭まで上昇。米金利は低下したものの、FOMC議事録の内容と株価の上昇によるリスクオンから円売りが強まった。ユーロドルは小幅に続伸し、1.0635まで買われる。株式市場は4日連続で3指数が揃って上昇。米長期金利の低下が続き、株式市場への追い風が続いている。債券は続伸。長期金利は4.55%台まで低下。金利低下に金は4日続伸。一方原油は大幅に続落。

マーケット情報

9月生産者物価指数 → 2.2%(前年同月比)

ドル/円 148.84 ~ 149.33

ユーロ/ドル 1.0580 ~ 1.0635

ユーロ/円 157.48 ~ 158.44

NYダウ +65.57 → 33,804.87ドル

GOLD +12.00 → 1,887.30ドル

WTI -2.48 → 83.49ドル

米10年国債 -0.095 → 4.558%

本日の注目イベント

中東 OPEC月報

欧 ECB議事要旨(9月開催分)

英 英8月鉱工業生産

英 英8月貿易収支

米 9月消費者物価指数

米 新規失業保険申請件数

米 9月財政収支

米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、会議で歓迎の挨拶

米 ローガン・ダラス連銀総裁、会議で歓迎の挨拶

米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演

 米長期金利がさらに低下したことを受け、株式市場では主要3指数が揃って4日続伸し、ナスダックはこの間440ポイント(約3.3%)も上昇しています。それまで軟調な動きが続いていた米株式市場がにわかに上昇に転じたことで、日経平均株価にも好影響を与えています。また先週まで9日続落していた金も金利低下を好感し、4日連騰と出直ってきました。原油価格も米金利の上昇で景気が抑制され、原油消費量が減少するとの思惑から低下傾向でしたが、ハマスのイスラエルへの攻撃で急騰しました。昨日は大きく売られましたが、市場が落ち着きを取り戻し、中東情勢の悪化の影響は限定的になるとの見方も出て来たようです。一方、米金利との相関が強いドル円は当然売られるはずですが、昨日のNYでは再び買われ、149円33銭まで上昇しています。金利低下を無視する格好で、今度は「リスク選好」から円売りが出た模様です。リスク資産の株が買われたことで、市場の「リスクオンムード」が高まったとの説明です。米金利が上がっても下がっても上昇するドル円に、「なんでやねん」と、投資家もやや困惑気味のようです。

 9月の米生産者物価指数(PPI)は前月比で「0.5%」と、市場予想を上回る伸びでした。前年同月比でも「2.2%」と、市場予想の「1.6%」を上回る結果になっています。それでも米金融当局者の発言はやや「ハト派寄り」のものが多かったように思います。アトランタ連銀のポスティック総裁はこれまでの主張を繰り返し、「政策金利については、これ以上何かをする必要はないと考える」と述べ、「ハト派」と見られているウォラーFRB理事も、「実態経済は好調のようだ。名目経済もわれわれが望む方向に進んでいる。従って当局は金利に関してある種、状況を見極める立場にある」と述べ、さらに「金融市場は引き締まりつつあり、それがわれわれの仕事の一部を肩代わりすることになる」と、市場金利の上昇が景気抑制に資するとの認識を示しています。また、ボストン連銀のコリンズ総裁は中立的な認識を示し、「現行の引き締めサイクルのピークに近づいているか、もしかするとピークにあるかもしれない」と述べながらも、「ただ、新たに入手する情報次第では、さらなる引き締めが適切になる可能性がある」と語っています。

 ハマスとイスラエルの戦争で、「死亡者数が双方で2000人に迫る」と昨日の本欄でコメントしましたが、今朝の情報では2200人を超え、さらに増えているとのことです。イスラエルのネタニヤフ首相は11日、ハマスとの戦争を乗り切るため「挙国一致内閣」を組閣することを発表しました。首相と国防相、さらに前国防相の3人で構成されるようです。軍事力では圧倒的にイスラエルが有利だとされており、イスラエルが地上軍を含めた本格的な攻勢に出れば、ハマスを一気に劣勢にすることは可能なようですが、ハマスの後ろにはイランやシリア、カタールなどが控えており、今後イスラエルを支持する米国も含め、友好国をどの程度巻き込むのかが焦点のようです。イランやカタールなどの産油国が参戦するようだと、原油価格もこのまま低下する可能性は低いと見られます。

 米下院議長選を巡り、共和党内ではスカリス院内総務が支持を伸ばし、議長候補になった模様です。今日にも本会議で投票が行われ、民主党候補との一騎討になりますが、民主党は同党の下院トップを務めるジェフリーズ院内総務を全会一致で支持するようで、共和党候補のスカリス氏が勝利するかどうかは不明です。マッカーシー氏が議長から解任されたように、共和党内の保守強硬派がスカリス不支持に回れば、予断は許さない状況です。

 本日のドル円は148円30銭~149円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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