【為替本日の注目点】ドル円、149円台で膠着
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は神経質な動きを見せながらも終始149円台で推移。米長期金利の上昇に買われたが149円75銭と、上値も引き続き介入警戒感があり今のところ限定的。ユーロドルも1.05台での取引に終始する。株式市場は3指数が大幅高。外交努力で中東紛争を封じ込めるとの観測も株価にプラスに働いたが、米企業決算を先取りした動きとの声も。債券は再び大幅下落。長期金利は4.70%台に。金と原油は反落。
マーケット情報
10月NY連銀製造業景況指数 → -4.6
ドル/円 149.42 ~ 149.75
ユーロ/ドル 1.0526 ~ 1.0565
ユーロ/円 157.37 ~ 157.98
NYダウ +314.25 → 33,984.54ドル
GOLD -7.20 → 1,934.30ドル
WTI -1.03 → 86.66ドル
米10年国債 +0.094 → 4.706%
本日の注目イベント
豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
中 中国、一帯一路フォーラム(北京、18日まで)-ロシア大統領出席の予定
独 独10月ZEW景気期待指数
英 英ILO失業率(6―8月)
英 英9月失業率
米 9月小売売上高
米 9月鉱工業生産
米 9月設備稼働率
米 10月NAHB住宅市場指数
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会で司会
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
米 ボウマン・FRB理事講演
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に出席
米 企業決算 → バンクオブアメリカ、J&J、ロッキード、ゴールドマン
加 カナダ9月消費者物価指数
加 カナダ9月住宅着工件数
昨日のNYでは「質への逃避」(Flight to Quality)の動きがやや後退し、リスク資産の株が買われ、安全資産の債券が売られ、さらに先週末には大きく買われた金と原油が下落しています。149円台で推移しているドル円もドルが売られる場面もありましたが、米長期金利の上昇に引っ張られる格好で買われ、149円75銭まで上昇しました。ただ、ドル円の動きも日に日に値幅を狭めています。絶対的な日米金利差からドル円は底堅い動きを見せてはいますが、150円前後では依然として介入警戒感がドルの上値を抑える状況が続いており、ある程度インパクトのある材料がないと、「金利差と介入警戒感の綱引き」が崩れない状況になっています。
そんななか、神田財務官は16日財務省内で、「為替相場が激しく下落した場合には、国は『金利を引き上げることによって資本流出を止めるか、為替介入で過度の変動に対抗する』」と述べ、その上で、「非常に複雑な状況の中で総合的にファンダメンタルズを判断する」と説明しています。これまでとは異なり「金利引き上げ」にも言及してきました。IMFアジア太平洋局のサンジャヤ・パンス副局長が、「日本が円相場を支えるため為替市場で介入を余儀なくされる要素はないと、IMFは認識している」と語ったこともあり、やや介入へのハードルが高まった印象があります。また、「日銀と財務省は介入のタイミングをめぐり分裂を深めているようだ。日銀と財務省の当局者発言からは、両者が一枚岩ではない印象を受ける。日銀当局者らは概して早期に政策を調整する必要性に否定的で、円安に対してより寛容な姿勢だ」と、ブルームバーグは伝えています。
イスラエルのガラント国防相はテルアビブでブリンケン国務長官と会談し、「長期の戦争に備える必要がある」とブリンケン氏に伝えており、ハマスへの大規模な攻撃の準備を行っていることを示唆しています。ガザ地区北部周辺からの避難者はすでに、100万人規模に達しています。バイデン大統領は15日放送のCNNで、イスラエルに奇襲を仕掛けたハマスに限った報復を認める一方で、イスラエルがガザを占領するのはガザに住む200万人以上のパレスチナ人の理解は得られないとして、「間違いだ」と述べるなど、イスラエルへの全面的な支援を行いながらも「冷静」な立場を取っているようです。一方で、中国、イラン、エジプトなどは「イスラエルの行動は自衛権の範囲を超えている」と批判的のコメントを発表しています。
シカゴ連銀のグールズビー総裁は英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)とのインタビューで、「最近のインフレ鈍化は単月の一時的なものではない」と述べ、2%のインフレ目標に向けた進展が停滞しているとの見方を否定し、「限られた一部のデータと関連付けないよう」、注意を促していました。これまでの「ハト派寄り」の発言を繰り返しています。また、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も、今後の金融政策については、「データが急激に変化しない限り、政策金利を現在の水準で据え置くことが望ましい」との認識を改めて示しています。
今週は、FOMCメンバーによる発言がピークを迎えますが、焦点は19日(木)のパウエル議長のNY経済クラブでの講演です。9月の雇用統計の結果が大きく上振れ、インフレ指標も再び上振れの可能性を示すなか、どのような発言を行うのか、内容次第では膠着感が続くドル円が大きく動くきっかけになる可能性もあります。
本日のドル円は148円80銭~150円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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