<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を0.75ポイント引き下げ

新興国

2023/10/25 8:47

 ハンガリー中央銀行は24日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を0.75ポイント引き下げ、12.25%とすることを決めた。市場の大方の予想は0.25-0.50ポイントの利下げだったため、0.75ポイントの大幅利下げはサプライズとなった。

 また、中銀は他の主要政策金利についてもベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を11.25%、また、上限を示す翌日物有担保貸出金利も13.25%にそれぞれ同率引き下げた。新金利は25日から適用される。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)でインフレが加速したため、ベース金利の引き上げを継続、21年6月から始まった利上げは22年9月会合まで17会合連続となり、利上げ幅も計12.40ポイントに達した。金利水準も99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となったことを受け、22年10月会合から据え置きに転換、前回9月会合まで12会合連続で据え置いていた。利下げはコロナ禍の20年7月以来、3年3カ月ぶり。他方、レンジの上限金利の引き下げについては7会合連続となる。

 中銀は今回のベース金利の引き下げについて、「ディスインフレ(物価上昇率の低下)の加速と経済の脆弱性の緩和により、金利引き下げが可能になった」とし、金融政策の正常化に向けた措置であることを指摘。その上で、今後の金融政策については、「世界的なディスインフレと市場の安定性を巡るリスクを考慮し、慎重なアプローチをとる必要がある。中銀は最新のマクロ経済のデータやインフレ見通し、リスクの見通しを注視しており、今後数カ月以内に金融政策のさらなる変更を決める」とし、これらのリスクが改善すれば、追加利下げの余地があることを示唆した。市場ではベース金利は年末までに11.00-11.50%に引き下げられると見ている。

 インフレについては、9月の全体指数が前年比12.2%上昇(8月は16.4%上昇)、コア指数も同13.1%上昇(同15.2%上昇)と、急減速しており、中銀はインフレ見通しについて、前回会合時と同様、「今後数カ月間、全体指数とコア指数は低下し続け、インフレ率は年末にかけて7-8%上昇に達する」とし、その上で、「25年にはインフレ率は物価目標の許容範囲内に収束する」との見通しを示している。また、23年全体のインフレ率は17.6-18.1%上昇と予想したが、24年は4.0-6.0%上昇、25年は2.5-3.5%上昇になると見ている。

 次回の金融政策決定会合は11月21日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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