米7-9月期GDP、前期比4.9%増―市場予想上回る

経済

2023/10/27 10:51

<チェックポイント>

●個人消費と企業在庫投資、政府支出が成長率を押し上げ

●企業在庫投資が前期比806億ドル増

●コアPCE物価指数、前年比2.4%上昇

 米商務省が26日に発表した7-9月期実質GDP(国内総生産、季節調整済み)伸び率・速報値は、前期比年率4.9%増と5期連続で拡大し、市場予想の平均値である4.9%増を上回った。

 GDP全体の約7割を占める個人消費は前期比年率で4.0%増と、前期の0.8%増から伸びが急加速、コロナ禍前の10年間の平均(2.3%増)を上回った。GDP成長率寄与度は2.69%ポイントと、全体の成長率の55%を占め、成長率を大きく押し上げた。

 一方、今後の個人消費の先行きを占う意味で重視される可処分所得の伸びは、インフレ調整前で1.9%増と、前期の6.1%増から減速。インフレ調整後(2012年価格水準)でも1.0%減(前期は3.5%増)に減速しており、今後、個人消費の低迷が予想される。

 GDP押し上げ要因である企業在庫投資の実質変動額は前期比年率806億ドル増と、前期の149億ドル増を大幅に上回り、成長率を押し上げた。GDP成長率寄与度は前期の0%ポイントからプラス1.32%ポイントに上昇している。在庫の前期比での拡大は企業が生産を増やし、枯渇した在庫を補充したためで、米経済にとって良い兆候となる可能性がある。

 民間投資(企業投資と住宅投資)は8.4%増と、前期の5.2%増に続き、2期連続で増加。GDP成長率寄与度もプラス1.47%ポイントと、前期のプラス0.9%ポイントに続き、2期連続で成長率を押し上げた。

 政府部門(政府消費支出と固定資本形成)は4.6%増と、前期の3.3%増からさらに伸び、5期連続で増加した。ウクライナへの軍事支援もあり、国防費が8%増(前期は2.3%増)と6期連続で増加している。

 対照的に、外需はGDP押し上げ要因の輸出が6.2%増と、前期の9.3%減から増加に転じた一方で、GDP押し下げ要因である輸入は5.7%増(前期は7.6%減)と、増加に転じた。この結果、貿易赤字は9377億ドルと、前期(9282億ドル)より95億ドル拡大した。外需のGDP成長率寄与度はマイナス0.08%ポイント(前期はプラス0.04%ポイント)と、6期ぶりに成長率を押し下げている。

 インフレ動向を示すGDPデフレーターは、前期比年率で3.5%上昇と、前期の1.7%上昇や市場予想(2.7%上昇)を上回った。また、FRBが最も重視しているコアPCE物価指数(値動きが激しいエネルギーと食品を除く)も2.4%上昇(前期は3.7%上昇)に減速。20年10-12月期(1.8%上昇)以来の低い伸びとなった。

 7-9月期は強い結果となったが、金利の高止まりによる投資の抑制や、自動車業界で労使交渉をめぐるストの長期化、中東情勢の緊迫化の悪影響などで10-12月期は低い伸びに戻るとの見方がある。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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