<新興国eye>ロシア中銀、予想上回る2ポイント利上げ―利上げサイクル終了の可能性
2023/10/30 9:24
ロシア中央銀行は先週末(27日)の金融政策理事会で、内需拡大によるインフレリスクを抑制するため、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利を2.00ポイント引き上げ、15.00%とすることを決めた。市場の大方の予想は1.00ポイントの引き上げだったため、サプライズとなった。
中銀は通貨ルーブル安とそれに伴うインフレ再加速を抑制するため、7月会合で、ウクライナ戦争開始(22年2月24日)以来、1年5カ月ぶりに利上げ(1.00ポイント)に踏み切った。8月の臨時会合と前回9月会合に続き、これで利上げは4会合連続となり、利上げ幅も7.50ポイントに達した。
中銀は会合後に発表した声明文で、追加利上げを決めたことについて、前回会合時と同様、「現在のインフレ圧力はロシア中銀の予想を上回る水準にまで大幅に高まっている。インフレ期待は引き続き高水準だ」、また、「インフレリスクは中期的に依然としてかなり大きい」とした上で、「インフレ率の物価目標(4%上昇)からの上方乖離を抑制し、24年に4%上昇に戻すためには追加の金融引き締めが必要になっている」とした。
さらに、中銀は今後の金融政策についても前回会合時と同様、「インフレ率が物価目標に戻り、4%上昇近くでさらに安定するということは金融引き締めの状況が長期にわたって維持されることを意味する」とし、利下げ転換はかなり先になる見通しを示した。
ただ、中銀は前回会合時と同様、「国内外の状況や財政、金融市場の反応によってもたらされるインフレリスク、また、物価目標や経済の構造転換の進捗状況との関連で実際にインフレ率と今後のインフレ動向を考慮し、主要金利についてさらなる決定を下す」とも述べ、(予断を持たず)オープンな姿勢を強調している。ただ、ナビウリナ総裁は会合後の会見で、「中銀は将来の政策の方向性について中立的なシグナルを送っているが、これまでの政策措置により、十分な効果が見られない場合、再利上げの用意は依然としてある」と述べている。しかし、それでも市場では今回の利上げ幅が予想の2倍と大きかったため、今回が利上げサイクルの最後となる可能性があると見ている。
足元のインフレリスクについて、中銀は、「10月23日時点で、インフレ率は前年比6.6%上昇と、9月の6.0%上昇から加速した」とした上で、「7-9月期のインフレ率(全体指数)は年率で平均12.1%上昇(4-6月期は5.1%上昇)、コアインフレ率は9.6%上昇(4-6月期は5.7%上昇)だった」とし、最近のインフレ加速に対し、強い警戒感を示している。
また、インフレリスクについて、中銀は前回会合時と同様に、「7-9月期の経済データによると、ロシア経済は中銀予測よりも速いペースで拡大しており、高い内需はインフレ圧力を持続的に強める」と指摘。その上で、「国内需要の拡大は民間需要によってもたらされているが、公共部門の需要は依然として高く、財政出動が再び増加すると予想される」と警戒感を示している。
ルーブル相場については、中銀は、「内需の拡大は輸入需要の拡大を促しており、これが年初来のルーブル安に寄与している」とした上で、「(西側の対ロ制裁による)対外貿易と金融規制の強化はロシアの輸出需要をさらに弱め、為替レートの変動(ルーブル安)を通じてインフレを引き起こす可能性がある」と警戒を緩めていない。最近のルーブル相場は年初来でドルに対し、20%安となっているが、資本規制の導入(10月17日)により、対ドルで上昇に転じ、下落圧力は消え、安定した動きとなっている。このため、今回の利上げはルーブル安阻止よりも内需抑制によるインフレ阻止が狙いとなっている。
また、中銀は今回の会合でもインフレリスクについて、「供給の制約は輸入品に対する対外制裁に加え、労働市場の状況にも関連しており、人手不足がさらに拡大、失業率は歴史的な低水準にある」とした上で、「内需の伸びが供給拡大能力を上回り続け、コアインフレの上昇圧力が強まる」とし、需要の増大に供給が追いつかず、インフレを加速させると警告している。
景気見通しについて、中銀は23年を2.2-2.7%増と予想、前回予測(1.5-2.5%増)を上方修正した。24年は0.5-1.5%増、25年は1.0-2.0%増、26年は1.5-2.5%増と、いずれも前回予測と変わっていない。
次回の定例会合は12月15日に開かれる予定。
<関連銘柄>
RTS連動<1324.T>、WTI原油<1671.T>、ガス<1689.T>、
提供:ウエルスアドバイザー社
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