【為替本日の注目点】FOMC、2会合連続の据え置き決定

為替

サーチナ

2023/11/2 10:08

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は151円台から反落。FOMCでは予想通り政策金利の据え置きが決められ、米長期金利が急低下したことでドルが売られた。ドル円は150円67銭まで下落したが、日本の金融当局による介入警戒感の高まりもドルの上値を抑えた。ユーロドルは反落。ユーロ円の売りも加わり、ユーロドルは1.0517まで売られる。株式市場では3指数が揃って続伸。FOMCで利上げが見送られたことで安心感が広がり、S&P500は44ポイント上昇。債券は大幅に上昇。長期金利は4.73%台へと急低下。金は続落し、原油も3日続落。

マーケット情報

10月ADP雇用者数 → 11.3万人

10月ISM製造業景況指数 → 46.7

9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 955.3万件

10月自動車販売台数 → 1550万台

ドル/円 150.67 ~ 151.38

ユーロ/ドル 1.0517 ~ 1.0575

ユーロ/円 159.06 ~ 159.61

NYダウ +221.71 → 33,274.58ドル

GOLD -6.80 → 1,987.50ドル

WTI -0.58 → 80.44ドル

米10年国債 -0.197 → 4.734%

本日の注目イベント

中 李克強前首相、北京で火葬

独 独10月雇用統計

独 独10月製造業PMI(改定値)

欧 ユーロ圏10月製造業PMI(改定値)

英 英10月製造業PMI(改定値)

英 BOE金融政策発表

英 BOE金融政策委員会(MPC)議事録

米 10月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)

米 新規失業保険申請件数

米 9月製造業受注

米 9月耐久財受注

米 企業決算 → アップル、スターバックス、モデルナ

 予想通りFOMCでは、9月会合に続き2会合連続で政策金利の据え置きを決定しました。声明文では、「最近の複数の指標は、経済活動が3四半期に力強いペースで拡大したことを示唆する。雇用の伸びは今年の早い時期より緩やかになってきているが、強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレは依然として高水準にある」と記述され、さらに「委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅行性、経済や金融の情勢を考慮する」と述べています。また、パウエル議長は会見で、「慎重に進んでいる」とした上で、「経済活動が持続的に潜在成長率を上回っている兆候が、ないし労働市場の引き締まりがもはや緩和していない兆候が新たに見られた場合は、追加利上げが正当化され得る」と述べ、前回9月の発言をほぼ踏襲していました。

 全体的にタカ派的発言が抑制されていたことで、債券と株が買われ、特に債券が急騰し金利が大きく低下しました。「最近の利回り上昇を踏まえると、米金融当局が12月に利上げを行う可能性が低くなっている。インフレを抑制し続けるため、その後で利上げを行う可能性はある。9月FOMC会合以降の金融環境の引き締まりで、当局の目標は部分的に達成した格好だ」といった声を、ブルームバーグは紹介しています。米長期金利は先月23日には節目の「5%」を超え、「5.04%」まで上昇しました。金利の上昇は、政策金利を引き上げたのと同じように景気を抑制する効果があるといった点が、改めて認識されたようです。

 前日のNY市場でドル円が昨年10月の市場介入を実施して以来となる151円74銭まで上昇したことについて、神田財務官は為替介入の可能性について1日、「スタンバイしている」と市場をけん制する発言を行いました。これまでの口先介入よりも「強め」の言葉が使われたことで、151円台半ばで推移していたドル円は30銭ほど円高方向に振れ、その後も警戒感から上値を重くする動きになっており、けん制は一応効果を発揮していました。財務官は「いつ何をするか申しあげることは出来ない」とし、市場の状況を見ながら緊張感を持って判断すると述べていました。また、急激な円安の背景については、内外金利差や地政学的なリスクなどさまざまな要因がある中で、「一番大きいのは投機だ」と指摘し、「総合的に勘案するとファンダメンタルズと合っていない。国民生活に対して影響が大きいので適切に対応をとらなければならない」と述べていました。

 ただ、足元で超低金利政策が維持されているのは、ファンダメンタルズを踏まえた上での政策決定が行われていると考えると、ファンダメンタルズに合致していると思われますが、どうでしょう。円安が大きく進んでいる要因の一つに円の超低金利があることは明らかであり、この点については今朝のブルームバーグはドイツ銀行が指摘した記事を紹介しています。ドイツ銀行の為替調査グルーバルヘッドのサラベロス氏は顧客向けリポートで、「利回りや対外収支といった円相場を動かしている要因を一見すると、円はトルコ・リラやアルゼンチン・ペソと同じ部類に属する」と指摘し、「円を防衛する日本の介入は良くて無力、最悪の場合には状況を悪化させることになるだろう」と痛烈に批評しています。「ここまで言うか」との感もありますが、多くの投資家の声を代弁していると思えます。円は「G7通貨」から「G20通貨」に格下げされたようですが、「新興国通貨で過去10年間のパフォーマンスが最も悪い2つの通貨と同列に置いた」とブルームバーグは伝えています。

 ドル円は米長期金利が20bpほど下げた割には堅調です。12月のFOMCでの利上げ観測はやや後退しましたが、パウエル議長は依然として「追加利上げの扉は開いたまま」にしてあります。日銀決定会合とFOMCが終わり、明日は祝日ですが、最後のビッグイベント「雇用統計」の発表があります。米労働市場は依然として好調だとは思いますが、ブレルことは日常茶飯事の「雇用統計」です。直近の市場予想「18万人」に対してどのような結果が出るのか?

 本日のドル円は149円80銭~151円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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