英中銀、6対3で政策金利を据え置き―3委員が利上げ主張

経済

2023/11/6 8:28

<チェックポイント>

●英リセッション懸念の高まりやインフレ率の鈍化を指摘

●中東情勢によるインフレ上ブレも警戒

●市場、現行の金利水準が長期化すると予想

 BOE(イングランド銀行、英中銀)は2日、金融政策委員会(MPC)で政策金利を5.25%に据え置くことを決めた。9委員のうち6人が据え置きを支持し、残り3人は0.25ポイントの利上げを主張した。据え置きは2会合連続。前回会合では5対4と意見がほぼ拮抗していた。

  BOEは声明文で、英国の7-9月期GDP(国内総生産)が前期比横ばいと予想されていることを念頭に、金利据え置きを決めた理由について、英国経済のリセッション(景気低迷)懸念が高まっていることをあげている。雇用市場についても不確実性が高まったとしており、「経済活動の低迷により、雇用の伸びは23年下期にかけて鈍化する可能性が高く、8月予測よりも大幅に鈍化する」と指摘している。

 金利据え置きのもう一つの理由は最近のインフレ低下だ。9月と7-9月期のインフレ率(全体指数)はいずれも前年比6.7%上昇とインフレ率は物価目標の2%上昇を大きく上回っているものの鈍化傾向にあり、「23年10-12月期に4.75%上昇、24年1-3月期に4.5%上昇、24年4-6月期には3.75%上昇になると予想される」と、インフレ低下見通しが強まったことを挙げている。一方で、中東情勢の悪化を受け、エネルギー価格の上昇によるインフレの上ブレリスクがあるとも指摘した。

 ベイリーBOE総裁は会合後の会見で、現在の金利水準が長期にわたる可能性を示唆しているが、市場ではBOEの金融引き締めが行き過ぎているとの見方もあり、数年以内に物価下落と潜在的な景気後退につながるとの懸念から、すぐに金利を引き下げるべきとの声も少なくない。現在の英国経済は住宅ローン融資が減少、企業の債務が増え、倒産するケースが増えている。

 市場では今後、BOEは過去の累積的な利上げサイクルにもかかわらず、インフレ水準が9月時点で前年比6.1%上昇と、米国の同3.7%上昇やユーロ圏の同2.9%上昇と比較して、低下ペースが遅れているため、インフレ率が物価目標(2%上昇)を超える状態を容認すると見ている。また、英国のインフレ率は25年まで物価目標に収束しない見通しのため、政策金利は今後、長期にわたり、据え置かれると予想している。世界の政策金利は長期的に4.5-5.5%上昇のレンジで落ち着くと見られているが、英国はレンジの上限近くとなる。

 次回の会合は12月14日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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