【為替本日の注目点】米10月の雇用統計軟調

為替

サーチナ

2023/11/6 10:39

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は150円台前半から149円台前半に下落。10月の雇用統計でNFPが予想を下回り、失業率も上昇したことで米金利が低下。加えて他の経済指標も総じて軟調だったこともドル売りを誘った。ユーロドルは続伸。1.0746まで上昇し、1カ月半ぶりの高水準を記録。株式市場は3指数が揃って5日続伸。米金利の低下が続き、資金が株式市場にも戻って来たとの声も。ダウは222ドル上昇し、3万4000ドル台を回復。債券は続伸。長期金利は一時4.4%台まで低下し、4.57%台で越週。金は続伸し、原油は反落。

マーケット情報

10月失業率 → 3.9%

10月非農業部門雇用者数 → 15.0万人

10月平均時給 (前月比) → 0.2%

10月平均時給 (前年比) → 4.1%

10月労働参加率 → 62.7%

10月ISM非製造業景況指数 → 51.8

10月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 50.6

10月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 50.7

ドル/円 149.18 ~ 150.22

ユーロ/ドル 1.0646 ~ 1.0746

ユーロ/円 159.84 ~ 160.40

NYダウ +222.24 → 34,061.32ドル

GOLD +5.70 → 1,999.20ドル

WTI -1.95 → 80.51ドル

米10年国債 -0.087 → 4.572%

本日の注目イベント

日 植田日銀総裁講演(名古屋)

日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(9月21日、22日分)

独 独9月製造業新規受注

欧 ユーロ圏10月総合PMI(改定値)

欧 ユーロ圏10月サービスPMI(改定値)

 米10月の雇用統計を受け、ドル円は再び149円台前半まで売られてきました。非農業部門雇用者数(NFP)は予想したほど伸びていなく、市場予想の「18万人」に対して「15万人」でした。また、9月分は「36.6万人」から「29.7万人」に、8月分も「22.7万人」から「16.5万人」にそれぞれ速報値から下方修正され、2ケ月分で合計10万人を超える修正が行われ、好調だった米労働市場にも、そろそろ陰りが出てきた可能性が浮上します。

 もっとも、10月分については、製造業の雇用が「3万5000人」減少していましたが、これは主に全米自動車労組(UAW)のストライキの影響を反映しているため、一時的であるとみられています。ただそれでも注意したいのは、驚くほど好調だと言われてきた米労働市場も相次ぐ利上げの影響を受け、経営者が雇用を手控える動きが出ている可能性もあります。今後発表される指標を待たなければなりませんが、もしそうだとしたら、株価が上昇し、金利も低下し、ドルの上値を抑えることになりますが、ドル高基調は維持しながらもやや上値で伸び悩むことも予想されます、もちろん、あくまでも今後のデータ次第ということになります。ブルームバーグのエコノミストは、「10月の雇用統計は、求職者にとっては一様に失望を誘うものだが、米金融当局にとってはインフレ率を目標の2%に戻す上で心強い内容になった。最大の注目点は失業率の上昇であり、これは非農業部門雇用者数の著しい伸びの鈍化と、過去分の大幅な下方修正を上回るものだ」と分析しています。またこの日発表された10月のISM非製造業景況指数も伸びが鈍化しており「51.8」と、5カ月ぶりの低水準でした。先に発表された製造業の方は「46.7」と、活動の拡大縮小の境目である「50」を下回っていましたが、サービス業の方も「50」に近づいています。

 ブラックアウト期間が終わったこともあり、雇用統計の結果を受けFOMCメンバーの多くが自身の見方を披露しています。リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「この日発表されたのは、雇用市場の漸進的な緩和を示すデータだ。追加利上げを望まない人々が望むような内容だと考える。インフレがどうなるかを見極める」と述べ、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も、「統計は労働市場の減速を示唆している。われわれが待ち望んでいたことであり、助けられた。経済がバランスを取り戻しつつあることはさらなる安心を与えてくれるが、一つの雇用統計に過剰反応したくはない」と、本音を吐露していました。また、アトランタ連銀のポスティック総裁はこれまでの主張を繰り返し、「金融当局はこの緩やかで着実な姿勢を続けるというのが、今の私の見通しだ」と語っています。先週のFOMCでは2会合連続で利上げを見送りましたが、10月の雇用統計の結果を受け12月会合でも見送る可能性が高まってきました。

 イスラエル軍はハマスに対する攻撃の手を緩めず、5日にはガザの中心地に大規模な攻撃を仕掛けガザ市を完全に包囲したと、軍の報道官が明らかにしています。中東を訪問中のブリンケン国務長官は、イスラエルによるハマスの戦争拡大を防ぐためパレスチナ自治区政府のアッバス議長を訪問したり、イラクの首都バグダッドなどでも話し合いを続けるなどの努力をしているようですが、ネタニヤフ首相は攻撃を中止する意向はないようです。この行為に、西側諸国や米国内からも非難の声が高まっており、イスラエルの暴走といった見方も日増しに高まっています。ガザの死者数はまもなく1万人に達しそうです。

 本日のドル円は148円70銭~150円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ