【為替本日の注目点】米10月CPI予想を下回る

為替

サーチナ

2023/11/15 10:11

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 10月のCPIが予想を下回ったことを受け米金利が急低下。ドル円は151円台後半から150円17銭まで急落。ユーロドルでもドル安が進む。一時は1.0887近辺まで買われ、2カ月半ぶりの高値を付ける。株式市場はCPIの低下を受け3指数が大幅高。ナスダックは326ポイント上昇し、1万4000の大台を回復。債券は急騰。長期金利は一時20bp余り下げる。金は続伸し、原油は変わらず。

マーケット情報

10月消費者物価指数 → 3.2%

ドル/円 150.17 ~ 151.85

ユーロ/ドル 1.0695 ~ 1.0887

ユーロ/円 162.37 ~ 163.79

NYダウ +489.83 → 34,827.70ドル

GOLD +16.30 → 1,966.50ドル

WTI ±0 → 78.26ドル

米10年国債 -0.193 → 4.447%

本日の注目イベント

豪 豪第3四半期賃金指数

日 7-9月GDP(速報値)

日 9月鉱工業生産(確定値)

中 中国10月小売売上高

中 中国10月鉱工業生産

欧 ユーロ圏9月鉱工業生産

欧 ユーロ圏9月貿易収支

英 英10月消費者物価指数

米 10月小売売上高

米 10月生産者物価指数

米 11月NY連銀製造業景況指数

米 APEC首脳会議(サンフランシスコ、17日まで)

米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演

米 バー・FRB副議長、下院で証言

 米10月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、為替も株も債券も大きく動きました。10月のCPIは、総合、コアとも市場予想を下回りはしましたが、それにしても市場の反応の大きさには驚きです。「インフレが落ち着く」ことが、これほど大きな値動きにつながる現象は、これまでインフレの継続を材料に多くの市場でかなりの規模の「ショート」が溜まっていたことを物語っており、その巻き戻しが大量に出たということです。

 10月の総合CPIは、前月比「0%」、前年比「3.2%」、さらにコアCPIでは前月比「0.2%」、前年比は「4%」で、いずれも市場予想を下回っていました。家賃やサービスなどは上昇したものの、航空運賃、中古車価格、それにホテル宿泊費、ガソリン価格などが低下していました。この結果を受け米長期金利は4.4%台まで低下し、前日比で20ベーシスポイント余り低下し、これがドル売りを誘い、ドル円は151円台後半から一気に150円17銭近辺まで急落しました。151円台後半では、介入があるのかどうか非常に微妙な水準で注目されていましたが、介入に代わるCPIの低下でドルが急落し、神田財務官も溜飲を下げたことでしょう。ドルが売られたことでユーロドルも1.0887まで「ドル安・ユーロ高」が進み、2カ月半ぶりのユーロ高を付けています。さらに円に対しては一段と上昇し、ユーロ円は163円80銭辺りまで上昇し、円の弱さは依然として続いている状況です。

 CPIの低下を受け、市場では来年の「利下げ」を織り込む動きも出て来ました。利下げは早くとも2024年後半からと予想していますが、一部には4月にもあり得るといった見方も出て来ました。言えることは、コアCPIはまだ「4%」で、総合でも「3.2%」と、FRBの目標である「2%」にはまだ距離があります。この「ラストワンマイル」が近いようで、時間がさらに必要な可能性もあります。経済指標の結果に一喜一憂していますが、今後まだ強めの指標が出ることも予想されます。特に雇用統計では10月の単月では低調でしたが、11月分が上振れしているようだと再び「元の鞘」に戻る可能性があります。10月のCPIの結果を受けても、FOMCメンバーの発言はやはり慎重でした。

 シカゴ連銀のグールズビー総裁はCPIの低下を歓迎しながらも「2%の目標達成までにはまだ距離がある」との認識を示し、「財のインフレはすでに鈍化しており、住宅を除くサービスのインフレは通常、調整が遅れることが多いことから、向こう数四半期にさらなる進展を遂げるには、住宅関連のインフレ動向が重要になる。より一般的に言えば、インフレが低下していく過程では、常にいくらか紆余曲折がある」と語っています。またリッチモンド連銀のバーキン総裁もサウスカロライナ州のイベントで、「インフレ鈍化でここ数カ月に実質的な進展が見られた」としながらも、「インフレ率が2%に下がる円滑な軌道にあるとは確信していない」と、慎重な姿勢を示し、「米金融当局は正しい方向に向かっているが、最近のデータは米経済が驚くほど底堅いことを示唆している」と述べています。(ブルームバーグ)このように、金融当局者としては依然としてはインフレに対する警戒感を解いていないスタンスを示しており、これは先のパウエル議長の発言と整合します。

 バイデン大統領は本日サンフランシスコで中国の習近平国家主席と会談する予定ですが、SFに向けて出発する前のホワイトハウスで、「われわれがやろうとしているのは、米中関係を良い方向に変えることだ。中国は現在、経済で困っている」と述べ、厳しい状況が続く「中国経済を支援することに米国として関心がある」と話し、「ただ、米国の知的財産を犠牲にすることはない」と釘を刺しています。先ずは今回の会談で、今後の定期的な対話の道筋を構築しておきたいとの意向のようです。

 引き続き今後のインフレの動向には注目しなければなりませんが、相場の動きにはまだ大きな変化はないと見ています。

 本日のドル円は149円50銭~151円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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