エージーピーの大貫哲也社長 第2四半期決算説明会で語る今後の成長戦略

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2023/11/8 17:30

 エージーピー<9377.T>が10月31日、24年3月期第2四半期累計(4―9月)の決算説明会動画を公開し、代表取締役社長の大貫哲也氏が今後の戦略を語った。

 24年3月期第2四半期累計は連結売上高60億600万円(前年同期比15.8%増)、営業利益は3億5100万円(前年同期は500万円)。運航便数の増加と空港内の業務量の増加により、両輪の「動力供給事業」、「エンジニアリング事業」が堅調に推移する中、大幅増益を達成。経常損益、純損益は前年の赤字から黒字に転換した。

 セグメント別に、「動力供給事業」は売上高27億7200万円(前年同期比31.8%増)、営業利益4億6700万円(同5.0倍)。航空需要の回復に伴う電力供給機会の増加に加え、4月利用分より原材料費の変動に応じた価格転嫁により売上が伸長。施設設備の固定費負担が大きい事業のため、これまではコロナ禍による売上の落ち込みで固定費負担に悩まされていたが、足元では固定費が薄まり、売上に対して少ない費用増により事業収支が改善していく局面となっている。

 一方、「エンジニアリング事業」も、売上高28億4200万円(同8.5%増)、営業利益5億4100万円(同29.1%増)と堅調に推移。航空需要の回復とともに特殊機械設備の稼働時間が増加し、空港内の「整備保守」が増加したこと、また、空港外の「物流保守サービス」が、EC(電子商取引)物販市場の堅調な伸びを受けて増加したことが支えとなった。「商品販売事業」は、介護・福祉施設へのカート販売が増加している一方で、AGPでんきサービスを23年2月に終了したこと等により売上が減少。営業損益は赤字が継続している。

 中期経営計画で掲げるのは、「ESG経営を推進」し、「成長の実現」と「戦略投資と還元の両立」を行うというメッセージ。「成長の実現」に関して、24年3月期第2四半期(7―9月)では、同社が開発したバッテリー駆動式GPU(地上動力設備)の性能試験が終了。これまで商談が進むかたわらで、真冬の千歳空港などで性能試験を続けてきたが、この夏、関西国際空港において、高温化でも十分な性能を発揮することを確認し、性能試験を終えた。

 バッテリー駆動式GPUは、国土交通省による「空港におけるカーボンニュートラル化実施計画策定支援事業」に選定され、現在は仙台空港に配備して、地方空港におけるGPUの普及モデル検討に向けた実証実験を行っている。「戦略投資と還元の充実」については、羽田空港のターミナル再編工事に併せて同社も動力設備関連の投資を実施。「還元」については、中間配当に加えて賃金のベースアップを決定した。

 既存3事業における今年度の取り組みについて、「動力供給事業」は、原材料費の高騰に対する価格転嫁制度を導入し定着。また、今後、幾つかの空港で拡張や再編等の計画が進むことから、資産効率の向上を意識して、自社設備の新たなる調達先を開拓していく。

 加えて、昨今の中大型機、B787やA350といった航空機は必要電力容量が大きいことから、電力設備の能力増強投資も継続していく。「エンジニアリング事業」については、経済環境の変化に応じて既存契約の改定を行い、引き続き収益性を改善していくが、これまでに施設保守事業における各種契約で単価の見直しを実現。また今後、事業の拡大に際して人の問題が大きな課題となるため、技術者のマルチスキル化やビジネスプロセス改革によって、生産性の向上を図っていく。「商品販売事業」については、航空機地上支援機材の防衛省への販路拡大を成し遂げた。

 「成長の実現に向けた取り組み」としては、「動力供給事業の地方・海外展開」、カーボンニュートラルとDX(デジタルトランスフォーメーション)のメガトレンドを踏まえた「空港の二酸化炭素(CO2)排出削減に資する新事業」、「物流保守サービス事業の拡大」の3つを推進している。

 具体的には、地方空港において同社が開発したバッテリー駆動式GPUの年度内配備に向けた取り組みを実施。COMBO機材の増配備も決定した。また、海外展開については、AGPタイへの新規商談案件が増加し、交渉も加速化している。「空港のCO2排出削減に資する新事業」としては、パートナー企業とともに羽田を始めとした国内4空港で、EV(電気自動車)車両の展開や充電施設の設置が進んでいる。また、空港外「物流保守サービス事業」に関しては、「成長する産業への参入」を意識して、これまでメーカーを経由して行っていた保守サービス事業を、エンドユーザーとの直接取引をも視野に入れて拡大を図ること、および小規模物流センターにおいて、物流システムの構築から、設置、保守・管理に至る一気通貫のサービス提供を計画中だ。

 こうした取り組みにより、24年3月期は売上高125億8000万円(前期比14.0%増)、営業利益6億8000万円(同28.8%増)を計画し、26年3月期は売上高150億円以上、営業利益率10%以上を目指す方針だ。

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