<新興国eye>2022年カンボジア観光統計:訪問客数―予想よりも早い回復

新興国

2023/12/1 8:44

 カンボジア観光統計年次報告書2022年(Annual Tourism Statistics Report 2022)によりますと、2022年のカンボジアへの訪問客数は、2019年661万592人、2020年130万6143人、2021年19万6495人から、227万6626人まで回復しました。2016年に訪問客数は初めて500万人を突破し、その後も増加傾向にありましたが、2020年、更に2021年は新型コロナの直撃を受けて大きく減少しました。2022年には予想よりも早い回復を見せ、2023年も1~9月ですでに392万6882人に達し、年間では500万人を突破すると見られます。

 交通機関別の2022年の訪問客数は、空路での到着が79万1603人、陸路146万7157人、水路1万7866人でした。訪問目的は、観光176万6577人、ビジネス43万1000人、その他7万9049人となっています。

 国別にみると、1位タイ85万3376人、2位ベトナム46万3395人、3位中国10万6875人、4位米国9万3386人、5位ラオス9万2609人、6位インドネシア7万5653人、7位韓国6万6040人、8位フランス5万6509人、9位マレーシア5万3123人、10位英国4万4123人となっています。日本は13位で2万9733人でした。

 なお、カンボジア人の海外への出発は、2019年203万8284人、2020年32万6199人、2021年3万517人から、2022年は97万292人に回復しています。

 観光業は、カンボジア経済にとって重要なエンジンの一つですが、新型コロナの影響を最も強く受けている産業の一つであり、ツアー関連会社や観光客向け飲食業・ホテル業等は、不況に沈んでいます。カンボジア観光省では2019年のレベルまで戻すのは2025年以降になると見ていましたが、2022年・2023年は予想よりも速いスピードでの回復を見せており、2024年にも過去最高に達する可能性があるものと見られます。カンボジア政府では、観光業回復のために様々な政策を打ち出しており、中小企業銀行による優遇貸付や返済困難な場合の条件緩和等が今後も実施される見込みです。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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