ECB、予想通り金利据え置き―24年下期からQE脱却開始

経済

2023/12/15 10:17

<チェック・ポイント>

●ECB総裁、「インフレ警戒を緩めることは絶対すべきでない」

●ECB総裁、「利下げについては全く議論しなかった」

●市場、24年3月の利下げ転換を予想―ECBとの温度差広がる

 欧州中央銀行(ECB)は14日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を4.50%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。4.50%の金利水準は依然、2000年10月(4.75%)以来、23年ぶりの高水準となっている。

 ECBは会合後に発表した声明文で、前回10月会合に続き、2会合連続で金利据え置きを決めたことについて、「インフレはここ数カ月低下しているものの、短期的には一時的に再び上昇する可能性が高い」とし、現在、高水準となっている金利を据え置くことが適切と判断したとしている。ユーロ圏のインフレ率は11月が前年比2.4%上昇と、9月の同4.3%上昇や8月の同5.2%上昇から急低下している。

 22年7月から始まった利上げサイクルは9月会合までの10会合連続で止まり、利上げ幅は計4.50ポイントに達している。市場では最近のインフレ低下やユーロ圏の景気後退を示す経済指標を受け、景気に配慮、来年の早期利下げ転換への期待が高まっている。市場ではしばらく、金利の高止まり(据え置き)が続いたあと、早ければ24年3月に最初の利下げが行われ、24年に3回の利下げにより、計0.75ポイントの金利低下を予想している。さらに25年にもさらに3回の利下げが実施されると見ている。

 ECBは今後の金融政策のフォワードガイダンス(金融政策の指針)について、前回会合時と同様、「主要金利が十分に長期間維持されればインフレ率がタイムリーに物価目標(2%上昇)に戻るのに大きく寄与すると判断している」とし、今後、利上げサイクルを一時停止、または終了する可能性を示唆した。

 ECBのクリスチーヌ・ラガルド総裁は会合後の会見で、最近のインフレ低下の進捗について、「政策決定者は(最近のインフレ低下でも)警戒を緩めることは絶対にすべきではない」とし、インフレ率の物価目標の達成を優先する考えを示した。また、総裁は、「企業の収益性や賃金をめぐる進行中の交渉など消費者物価への持続的な上振れリスクがある」と指摘した。

 市場では11月のインフレ率が2.4%上昇に急速に鈍化する見通しから、早ければ24年3月にも利下げ転換を予想しているが、これについて、総裁は、「今後数四半期はいかなる行動も予想されるべきではない」、また、「利下げについてはまったく議論しなかった」と、早期利下げは時期尚早という考えを示している。その上で、「政策立案者が金利を上げたり下げたりするのではなく、金利を維持できる」と、金利据え置きを維持する考えを示した。

 次回の会合は24年1月25日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ