<新興国eye>トルコ中銀、予想通り2.5ポイント引き上げ―今後も利上げ継続を示唆

新興国

2023/12/22 8:47

 トルコ中央銀行は21日の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を2.50ポイント引き上げ、42.50%とすることを決めた。市場の予想通りだった。

 中銀は23年2月6日の大震災を受け、震災復興を支援するため、2月会合で22年11月以来3会合ぶりに利下げに踏み切ったが、3月会合で現状持に転換。5月会合まで3会合連続で据え置いたあと、新総裁に就任したハフィゼ・ガイ・エルカン氏の下で初めて開かれた6月会合で21年3月以来2年3カ月ぶりに利上げに転換した。これで利上げは前回11月会合(5.00ポイント利上げ)に続き、7会合連続。42.50%の金利水準は18-19年の24.00%を大幅に上回り、過去最高を更新した。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利上げについて、前回会合時と同様、「現在の内需やサービス物価の強さ、地政学的リスクにより、インフレ圧力が維持されている」とし、インフレ懸念が続いていることを指摘した。ただ、「月次インフレ率の低下基調が続いており、金融引き締めはインフレ解消の道筋を確立するために必要なレベルにかなり近づいたと判断し、金融引き締めのペースを引き下げた」とし、利上げ幅を前回会合時の半分に縮めたとしている。

 その上で、今後の金融政策について、中銀は、「金融引き締め(利上げ)サイクルができるだけ早く終了することを期待している」とし、利上げサイクルの早期終了の考えを強調した。ただ、中銀は、「インフレ指標(全体指数)とコアインフレの動向を注視、物価安定という主目的に沿って、あらゆる金融政策ツールを断固として使用し続ける」との文言を残しており、「金融引き締めは持続的に物価を安定させため、必要な限り維持される」とし、今後は段階的な小幅利上げを続ける方針を示している。

 また、中銀は今回の会合で利上げによる金融引き締め効果を補完するため、公開市場操作(オペ)による過剰流動性を吸収するための不胎化措置として、市中銀行から入札方式でリラ建て預金を買い入れる「預金買い入れ入札」の再開と、市中銀行のリラ建て国債の購入比率の引き上げを新たに決めた。

 7月会合から実施している既存の量的金融収縮(金融引き締め)措置である、リラ安から企業や消費者の貯蓄を守るため、21年末に導入されたリラ建ての「為替保護預金(KKM)」制度(預金を外貨換算した際、目減りした損失を補填)を廃止、その代わりに通常のリラ預金口座への資金移動を進める措置の継続を決めた。今回の会合でも「トルコリラ預金の割合を増やすための規制措置により、引き続き、通貨伝達メカニズムが強化される」と述べている。

 市場では政策金利の42.50%への引き上げは、同国の24年末のインフレ率が36%上昇と予測されているため、実質金利がプラスに転換する可能性が高まったと見ている。また、今後も中銀は利上げを継続、24年1月の次回会合で政策金利を0.25ポイント引き上げて45,00%とし、利上げサイクルを終了すると予想している。

 次回の金融政策決定会合は24年1月25日に開かれる予定。

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