【為替本日の注目点】ドル円5カ月ぶりに140円台前半まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
東京時間から上値の重かったドル円は141円台を割り込み、NYの午前中には140円25銭まで売られる。5カ月ぶりの円高ドル安を記録したが、その後は141円台前半まで反発。ユーロドルではドル安はそれほど進まず、1.1120近辺までユーロが買われたが、前日の高値は抜けず。株式市場はまちまちの展開。ダウは最高値を更新したが、ナスダックは小幅に下落。債券は反落。長期金利は3.84%台へと上昇。金は5日ぶりに反落。原油も大幅に続落。
新規失業保険申請件数 → 21.8万件
11月中古住宅販売成約件数 → 0.0%
マーケット情報
ドル/円 140.25 ~ 141.58
ユーロ/ドル 1.1056 ~ 1.1120
ユーロ/円 155.83 ~ 156.83
NYダウ +53.58 → 37,710.10ドル
GOLD -9.60 → 2,083.50ドル
WTI -2.34 → 71.77ドル
米10年国債 +0.050 → 3.844%
本日の注目イベント
米 10月シカゴ購買部協会景気指数
米 債券市場、短縮取引
昨日の東京時間からドル円は上値を重くし141円割れを試す展開でしたが、NYでは一気に140円25銭まで売られ、今月14日に記録した直近安値であった140円95銭を大きく下回る動きになりました。ただ、その後は急反発し、141円台前半まで値を戻して引けています。FRBの利上げ局面が終わり、何度も期待を裏切られた日銀の緩和政策修正の動きも、既報の通り、植田総裁の発言などからすればどうやら、来年4月くらいまでには実施されそうな気配です。そうなると、「2024年に向けてドルが緩やかに下落する」といったシナリオは描きやすく、焦点はドルがどこまで売られるのかといった点に絞られそうです。気を付けたいのは、それでも昨日のNYでの動きは140円台前半から1円以上も反発して取引を終えているという事実です。この動きが何を示唆しているのか、注意しておく必要があろうかと思います。従来の相場観からすれば、来年に向けて円高ドル安が想定される中、5カ月ぶりの円高水準までドルが売られれば、そこからの戻しは限定的になるのが定石です。市場参加者の中には、円高を予想しながらもそれでも「ドルが下がったら買いたい」と考えている投資家も結構いるということかもしれません。
イスラム組織ハマスを支持するイエメンの親イラン武装組織フーシ派によるスエズ運河を航行する船舶への攻撃が続いていますが、この状況が長引けば消費者にとってあらゆる物価の上昇につながる可能性がありそうです。その結果、世界的に治まりつつあるインフレの波が再び高まる可能性もあります。物流会社フレックスポートがまとめたデータによると、299隻の船舶が航路を変更する計画であることが明らかになり、それらの船舶は合わせて430万個のコンテナを運ぶ能力を持っているとのことです。この数は1週間前からほぼ倍増し、世界全体の輸送能力のおよそ18%に相当するようです。「アフリカの喜望峰を迂回するルートは、アジアと欧州を結ぶ近道であるスエズ運河を利用するよりも最大25%長く時間がかかり、コストもさらに高くなる。消費者にとってスニーカーから食品、石油に至るあらゆる物価の上昇につながる可能性がある」(ブルームバーグ)と報告されています。さらにもう一つの海運の大動脈である「パナマ運河」では、干ばつによる水位の低下で米国からアジアに向かう穀物輸送船の運航が制限されています。パナマ運河(ACP)は、1日あたり36隻の運航枠を12月から22隻まで減らしており、追加の航行枠が出た場合、競売でその枠を発給していますが、落札額は1枠140~200万ドル(約2億~2億8000万円)に達する例もあるようです。200万ドルで落札した場合、米国から日本向けの穀物の運賃は5割ほど上がるとのことです。(日経新聞)大量の飼料を必要とする酪農業にとって極めて厳しい状況が予想され、ひいては末端価格にも波及してくることは必至です。
自民党安倍派のパーティー券を巡る問題で、東京地検特捜部は議員本人に対する事情聴取だけでなく、議員会館や事務所に踏み込むなど、厳しい捜査を行っています。いずれ逮捕者が出る可能性もありそうです。日経新聞の伝統的なコラム「大機小機」に今週、「終わりゆくアベノミクス」と題した興味深いコラムがありました。「自民党最大派閥がにらみを利かせていると、『アベノミクス下の政策をもうやめます』とは言いにくい。その状況が今回の問題で終わる。最大の変化は、日銀が政策のフリーハンドを得たことだろう。24年は政治、金融の両面でアベノミクスが終わる年となりそうだ」と、執筆者の「四つ葉」氏は論じていました。安倍-黒田ラインが終わり、もしかしたら石破-植田ラインが誕生する可能性を踏まえれば、正鵠を射ていると思われます。
本日のドル円は140円30銭~142円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
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