新NISA成長投資枠活用術―2023年の市場動向から探る有望株

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2024/1/17 13:30

 2024年からいよいよ新NISA(少額投資非課税制度)がスタートした。年間最大で積立投資枠120万円、成長投資枠240万円、合計360万円の投資で得られた利益が非課税となる。一般口座で株式や投資信託で利益が出た場合にかかる税金は20.315%。仮に100万円の利益が出たとしたら、20万円以上を税金で支払う必要があり、非常に大きな差が出る。

 そんな新NISAでは、特に対象商品が多い成長投資枠でどの商品に投資すれば良いのか、迷う人が多いはずだ。

 そこで、ウエルスアドバイザーでは、日本株の23年を振り返り、24年も注目されるであろう銘柄を考えてみた。

 まず、23年の日本株式は全体的に好調で、日経平均株価は年間で28%超、TOPIX(東証株価指数)は25%超それぞれ上昇した。良好な環境の中で、23年の日本株の個別の騰落率トップ30(時価総額は1500億円以上)をピックアップした。

※右の画像クリックで表、グラフ拡大

 23年もっとも株価が上昇したのはTOWA<6315>だった。その上昇率は321.9%。つまり株価は1年で4倍以上になった計算だ。

 同社はいわゆる半導体関連銘柄。集積回路を機能ごとに複数のチップに分割し、それぞれを最適なプロセスで製造して最終的に組み合わせる「チップレット」に絡むモールディング(樹脂によって半導体と外部を電気的に絶縁して封止する)装置で世界最大手の企業だ。2位の野村マイクロ・サイエンス<6254>は上昇率が263.7%と約3.6倍。半導体向け水処理事業が好調だ。

 騰落率トップ30を見てみると、いわゆる半導体関連銘柄は半分以上を占める。まさに23年は「半導体相場」だった。

 半導体関連以外の銘柄をみてみると、3位に神戸製鋼所<5406>、18位にTOPPANホールディングス<7911>などがランクインしている。それぞれ上昇率は、184.2%と101.4%だ。これら企業は東証が進めた上場企業への資本効率改善への取り組みの要請に応じて株主還元を強化した企業だ。

 11位のゼンショーホールディングス<7550>は、牛丼の「すき家」を展開する飲食関連。上昇率は123.2%だ。値上げや高単価メニューの投入を背景に、業績を伸ばした。飲食関連では、20位に焼き肉やラーメンチェーンを展開する物語コーポレーション<3097>も上昇率101.4%でランクインしている。

 その中で異彩を放つのが、28位のRIZAP(ライザップ)グループ<2928>だ。日本全国にコンビニジム「chocoZAP(チョコザップ)」を展開、22年7月のブランド開始からわずか1年でフィットネス会員数が日本で初めて100万人を突破するなど急激な成長を見せている。

 業績面で見ると、「chocoZAP」事業への先行投資の影響で23年3月期の連結業績は赤字。ランキングトップ30の中で唯一の赤字企業だ。もっとも、この「chocoZAP」事業はいわゆるサブスクモデルのため、黒字化の時期は見えているという。今後の成長が見込まれていることから、株式市場での評価が高まっている可能性がある。同社の24年3月期第2四半期累計(23年4-9月)の連結業績は、売上高が前年同期比の5.3%増の810億円、営業損益は58億円の赤字(前年同期は2.3億円の黒字)と、「chocoZAP」の本格的な収益貢献はこれからの状況。23年に株価は大幅に上昇したが、「chocoZAP」事業の収益が本格的に表面化する前が仕込み時かもしれない。

 24年は日経平均が3万6000円台に乗せ、バブル崩壊後の最高値を連日で更新するなど好調なスタートを切った。半導体、資本効率化のテーマに乗る銘柄や、「chocoZAP」が注目されるRIZAPから24年も目が離せない。新NISAにおける成長投資枠で、組み入れ候補として一考の余地がある。

(写真:123RF)

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