FOMC議事録、早期利下げによるインフレリスクを警戒―早期利下げに否定的

経済

2024/2/22 8:25

<チェックポイント>

●インフレ率2%上昇に向かっているか確信できるまで利下げは適切でないと

●「需要の勢いが思ったより強い」とインフレリスク強調

●次回会合ではバランスシートも議論と

 FRB(米連邦準備制度理事会)は21日に公表した、1月30-31日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録で、早期利下げサイクル開始の可能性について、インフレ上ブレリスクを強く警戒した上で、大半の委員は利下げのペースが遅すぎることよりも、利下げが早すぎることへの懸念を示していることが分かった。

 議事録によると、大半の委員はインフレ率が前年比2%上昇まで持続的に低下しているか慎重に判断する重要性を強調。「委員らは総じて、インフレ率が2%上昇に向けて持続的に推移しているという確信がさらに高まるまで、利下げするのは適切ではないとの見方を示した」とし、早期利下げに慎重な見方を示している。

 ただ、2人の委員は利下げを見送ることが景気の下ブレリスクを高めると指摘しており、少数ながら遅すぎる利下げが景気を悪化させるとの懸念も示された。

 また、インフレ上ブレリスクは低下しているとしつつも、「一部の委員からは、特に総需要が強まるか、または供給サイド(サプライチェーン)の回復が予想以上に遅れた場合、物価安定の進展が停滞するリスクが指摘された」としている。

 景気見通しの不確実性も議論された。「前年の個人消費が驚くほどの回復力を示したことを考慮すると、総需要の勢いが現在評価されているよりも強い可能性がある」とし、その上で、「数人の委員は、インフレ抑制を遅らせる可能性があると指摘」。また、地政学的な要因によるサプライチェーンの混乱の可能性や賃金上昇率が高止まりする可能性などインフレの上ブレリスクにも懸念を示したとしている。

 バランスシートの縮小については、そのペースについて検討する必要があるとの意見が多かったという。FRBは量的金融緩和(QE)からの出口戦略として国債・MBS(不動産担保証券)の買い取りを減額(バランスシートの縮小)しているが、議事録では「多くの委員は、買い取り減額のペースを遅らせるための最終決定を行うため、次回の会合でバランスシートの問題について徹底的な議論を開始することが適切だ」としている。

 FRBは現在、減額ペースについて、国債の毎月の減額上限は600億ドル、エージェンシー(政府機関ジニーメイと政府系住宅金融会社)MBSの毎月の減額上限は350億ドルとしている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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