<新興国eye>トルコ中銀、予想に反し、5ポイント追加利上げ

新興国

2024/3/25 9:20

 トルコ中央銀行は先週(21日)の金融政策決定会合で、通貨トルコリラ急落とインフレ急加速を阻止するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を5ポイント引き上げ、50%とすることを決めた。市場の大方は当分の間、据え置きが続くと予想していたため、5ポイントの大幅利上げはサプライズとなった。

 中銀はエルカン前総裁の就任後初めて開かれた23年6月会合で、2年3カ月ぶりに利上げに転換。利上げサイクルは24年1月会合まで8会合連続で実施され、金利水準は計36.5ポイント上昇、18-19年のピーク(24%)を大幅に上回り、過去最高を更新したことから、前回2月会合で金利を据え置いたばかりだった。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利上げを決めたことについて、「内需が底堅い一方で、2月のインフレ率がサービス物価により予想を上回る高い伸びを示したため」とし、インフレの悪化が主な要因としている。市場では地方選挙を3月末に控える中、トルコリラ安が急速に進み、インフレ率が70%を突破する勢いとなっているため、緊急利上げに踏み切ったと見ている。2月のインフレ率は前年比67%上昇だった。

 また、中銀は政策金利の上下幅(コリドー)をプラス・マイナス3ポイントに拡大、上限となる翌日物貸出金利を53%、下限となる翌日物貸出金利を47%に設定した。これにより、中銀は商業銀行に対し、より高コストの資金供給(金融引き締め)が可能になる。

 中銀はインフレリスクについて、前回会合時と同様、「サービス物価や地政学的なインフレリスク、食品物価の高止まりによりインフレ圧力が続いている」とし、インフレリスクへの警戒感を示した。その上で、「今後、インフレ期待と企業の価格設定行動が予測通りに推移するか、また、賃金上昇のインフレへの影響を注視する」としている。

 今後の金融政策について、中銀は、「毎月のインフレ率の傾向が大幅に低下するまで、また、インフレ期待が予測の範囲に収束するまで金融引き締めスタンスが維持される」とした上で、「インフレの大幅、かつ持続的な悪化が予想される場合、金融政策スタンスは引き締められる」とし、追加利上げの可能性を示唆するフォワードガイダンス(金融政策の指針)を示した。

 中銀は23年12月会合で、金融引き締め効果を補完するため、公開市場操作(オペ)による過剰流動性を吸収するための不胎化措置として、市中銀行から入札方式でリラ建て預金を買い入れる「預金買い入れ入札」の再開と、市中銀行のリラ建て国債の購入比率の引き上げを決めたが、今回の会合でも過剰流動性を吸収するための不胎化措置の継続を確認した。

 次回の金融政策決定会合は4月25日に開かれる予定。

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