<新興国eye>ブラジル中銀、予想通り0.5ポイント利下げ―次回も同率利下げを示唆

新興国

2024/3/25 9:20

 ブラジル中央銀行は先週(20日)の金融政策決定委員会で、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.5ポイント引き下げ、10.75%とすることを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。

 中銀は8月会合で20年8月以来3年ぶりに利下げに転換。これで利下げは6会合連続、利下げ幅も計3.0ポイントに達した。22年1月(9.3%)以来の低水準となったが、依然、高水準に変わりはなく、インフレ抑制が期待される金融引き締め状況となっている。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利下げを決めたことについて、前回会合時と同様、「経済活動は(今後数四半期にわたり)減速するという中銀予測と引き続き一致している」と述べ、現在、減速傾向にある景気の先行きに懸念を示した上で、利下げによる景気支援の必要性を強調している。

 また、中銀はディスインフレ(物価上昇率の低下)が進展したことなどを考慮し、追加利下げを決めたとしている。インフレについて、中銀は、「最近のインフレ率(全体指数)は依然として、予想通りディスインフレ(物価上昇率の低下)傾向にある」としたが、「最近のコア指数は物価目標を上回っている」とし、警戒感を示している。

 また、中銀は中東紛争の激化とそれに伴う原油価格の上昇リスクや世界的なインフレ圧力の持続に直面していることから、前回会合時と同様、「インフレ期待のアンカー(定着)効果が部分的にとどまり、世界情勢の見通しが厳しいなど、ディスインフレプロセスが鈍化する傾向を踏まえると、現在の局面は不確実性が高く、金融政策運営には慎重さが必要になっている」とし、政策運営が難しくなってきたと指摘している。

 中銀はインフレ見通しについては、「24年のインフレ率は3.5%上昇(前回会合時も3.5%上昇)、25年は3.2%上昇(同3.2%上昇)と予想している」とし、いずれも据え置いたが、物価目標(3.0%上昇)を超えると予想している。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「インフレシナリオが予想通りに進展すれば、次回5月会合でも全員一致で、同規模の追加利下げを予想している」とし、その上で、「ディスインフレプロセスに必要な金融収縮(引き締め)政策を維持するにはこのペースが適切と判断する」とし、段階的に利下げを進める考えを示している。

 市場では次回5月会合まで現在の0.5ポイントペースで利下げを進め、6月会合からは0.25ポイントの小幅利下げに転じる可能性が高いと見ている。また、24年末までに政策金利を9.0%に引き下げると予想している。

 次回の金融政策決定会合は5月8日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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