来週の東京外国為替市場見通し=日米金利差拡大を見込んだ動き継続か、為替介入には引き続き警戒
予想レンジ:1ドル=151円00銭-155円90銭
8-11日のドル・円は上昇した。週明け8日は、前週末の強い米3月雇用統計を材料視したドル買い・円売りが継続。9日は、米3月CPI(消費者物価指数)を前に様子見ムードが強まる中、日本政府・日銀による円買い介入が警戒され、上値が重かった。10日、米3月CPIが市場予想を上回ったことから、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ開始が遅れ、年内の利下げ回数が想定を下回るとの観測が広がり、ドル・円は153円台前半と、1990年6月以来約34年ぶりとなる水準まで急伸した。11日は、市場予想をやや下回る米3月PPI(生産者物価指数)を受けてドル買い・円売りの勢いが弱まる場面があったが、一巡後はドル買いが優勢となって持ち直し、強含みで推移した。
足元のドル高は、米利下げ開始時期が遅れるとの見方が背景となっており、米早期利下げ観測が高まるか、日銀による追加利上げ観測が高まらない限り、日米の金利差拡大を見込んだドル買い・円売りが継続するとみられる。FRB高官や日銀関係者の発言には神経質に反応しそうだ。
また、15-19日の週は米3月小売売上高のほか、米3月住宅着工件数などの住宅関連指標が多く発表されるが、市場予想よりも強い結果となればリスクオンのドル買いが強まる可能性がある。
10日の米CPIを受けたドル・円の急伸に対し、市場で警戒された為替介入の動きはみられなかった。ただ、鈴木俊一財務相は「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せず、対応する」としている。投機的な動きにはいつ政府・日銀が円買い介入に動いても不思議はなく、警戒は怠らないようにしたい。
ドル・円の上値メドは90年6月25日に付けた155円85銭近辺。下値メドは3月下旬から4月上旬にもみ合ったレンジの下限近くの151円ちょうど近辺。
提供:ウエルスアドバイザー社
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