海外株式見通し=米国、香港

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2024/4/18 10:30

【米国株】S&P500はピークアウトか

 S&P500指数は1日に付けた史上最高値(取引時間ベース)が5263ポイント。一方、コロナ禍で大幅に下落した2020年3月23日には2191ポイントの安値を付けており、その日から高値までの約4年間の取引営業日数は1013日だった。また、コロナ禍前の最高値(20年2月19日の3393ポイント)形成に要した期間も、16年2月11日の安値1810ポイントから数えて1012日だった。つまり、日柄の面では既に当面のピークを付けたとしてもおかしくない。

 けん引役の半導体株の上昇も限界を迎えた可能性がある。半導体株で構成するSOX指数は、S&P500指数に対する倍率が00年3月のITバブル時を超える水準に達しているほか、大型ハイテク株を中心としたナスダック100指数のNYダウに対する倍率も、同様にITバブルの最盛期を上回っている。

 イランが今月、イスラエルに向けて無人機やミサイルによる大規模攻撃に踏み切ったことで、中東の地政学リスクが拡大した。また、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策をめぐっては、従来観測されていた年内の3回の利下げ見通しから、現行政策金利の据え置き長期化へと見方が変わりつつある。

【香港株】資本市場振興「国9条」とPC・スマホ需要底入れ

 中国の国務院(内閣に相当)は12日、資本市場振興の基本政策を示した「リスクコントロールの強化と資本市場の質の高い発展の促進に関する意見」を公表。「意見」は9項目で構成され、「国9条」と呼ばれる。「国9条」の発表は04年版、14年版に続く3度目だ。上場企業や機関投資家を監督する体制を整備し、株式市場への信認を高めるため、上場基準の厳格化、上場廃止ルールの確立、違法行為の取り締まり強化、中・長期資金の呼び込みなどの政策指針が盛り込まれた。

 その中で注目されるのが、「配当が優良な企業に対するインセンティブを拡大し、配当性向を引き上げる措置を講じる」という点である。さらに、「配当の安定性、持続性、予見性を高め、年度複数回の配当や春節(旧正月)前の配当を推し進める」ともしている。4大国有銀行など銀行株は配当性向が3割前後で横並びなことから、今後は配当狙いの投資の魅力が高まると考えられる。

 一方、市場調査会社IDCによる、パソコン(PC)とスマートフォンの世界出荷台数は1~3月にPCが前年同期比1.5%増の5980万台と7四半期ぶりにプラス転換し、スマホも同7.8%増の2億8940万台と2四半期連続のプラスだった。いずれも底入れの兆しがみられる。

 PCでは、レノボ・グループ(1810香港)が前年同期比7.8%増と伸長し、世界シェア23%の首位に返り咲いた。スマホはシャオミ(992香港)が同33.8%増と拡大し、世界シェアで14%を占めた。

 レノボとシャオミの株価は香港ハンセン指数と比較して堅調だが、シャオミはEV(電気自動車)への新規参入などへの期待が先行していた分、反動で足元の株価がさえない。いずれも年後半に向けて生成AI(人工知能)搭載の新製品動向がカギを握る。

(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)

(写真:123RF)

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