<特集>新NISA活況、優待・分割で個人投資家へアピール合戦(1)

株式

2024/4/26 9:01

 新NISA(少額投資非課税制度)が始動して4カ月が経過した。資産運用への関心の高さを反映し、口座を新規で開設する動きは活況だ。こうした中で、上場企業は個人投資家の資金を呼び込む取り組みが求められている。その有力な手段である株主優待や、株式分割を実施している銘柄に注目が集まる。

 NISAの年間投資枠は、24年から計360万円(積み立て投資枠120万円、成長投資枠240万円)と従来の160万円から大幅に引き上げられた。3月に日本証券業協会が公表した資料では、証券会社10社(大手5社とネット5社)の2月末時点のNISA口座数は約1400万口座で、2月の新規開設件数は53万件に上った。昨年の1-3月の月平均(18万件)と比べ3倍に迫る。

 日経平均株価の史上最高値更新も相まって、個人が強気スタンスに傾いているようだ。1-2月のNISA口座による買い付け額の月平均は、成長投資枠が1.5兆円、積み立て投資枠が2700億円だったが、国内株(ETFやリートを含む)は46%を占めた。このうち、成長投資枠での株式の買い付け額のうち実に91%が国内株だった。

 上場会社は企業価値向上(=株価上昇)という命題を背負う時代に入り、株主還元を強化することなどで投資家へのアピールを積極化している。その対象は機関投資家や外国人にとどまらず、NISA枠の拡大を通じて存在感を示す国内の個人も重視されつつある。

 個人投資家の資金を呼び込む施策としては、株式分割が有力な手段の1つとされる。それ自体が企業価値に与える影響はないものの、最低投資額を大幅に引き下げられるという点で買いやすさにつながる。例えば株価(1株当たり)2万円の銘柄が10分割すれば、最低投資額(100株)も200万円から20万円に下がる。24年3月末基準では、60銘柄程度が株式分割を実施した。

 また、魅力的な株主優待も個人の資金を呼び込む方法として広く用いられてきた。その企業ならではの優待は、実際にサービスを利用する人を投資家として招き入れる効果をもたらす。また、クオカードをはじめ、換金性や利便性の高い優待も人気になりやすい。

 そこで、株式分割や株主優待を実施している注目の企業をいくつか挙げてみた。

(2)につづく

提供:ウエルスアドバイザー社

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