米1月小売売上高、前月比0.3%増―4カ月連続で市場予想と一致

経済

2020/2/17 9:41

<チェックポイント>

●建築資材・園芸とその他小売が急増―アパレルは急減

●自動車とガソリン除くと前月比0.4%増―12月から伸び鈍化

●コア小売売上高、前月比横ばい―1-3月期GDPへの寄与は限定的

 米商務省が14日発表した1月小売売上高(季節・営業日調整後)は速報値ベースで前月比0.3%増の5298億ドルと、19年12月の同0.2%増(改定前は0.3%増)を上回り、19年10月以降4カ月連続の増加。市場予想(同0.3%増)とも一致した。

 前年比は4.4%増と、19年12月の同5.5%増(改定前は5.8%増)から伸びがさらに伸び、この3カ月間(19年11月-20年1月期)の売上高も前年比4.4%増、また、前3カ月(19年8-10月期)比0.5%増と、堅調な伸びを示した。19年通年では3.6%増だった。

 内訳は、全13業種のうち、9業種が増加した。増加幅が大きかったのは、6カ月ぶりの高い伸びとなった「その他小売」の前月比2.3%増(12月は同1.4%減)やホームセンターなどの建築資材・園芸の同2.1%増(同1.3%増)、レストラン・バーの同1.2%増(同1.2%増)。このほか、家具は同0.6%増(同1.6%減)、百貨店にスーパーなど量販店を加えた一般小売販売も同0.5%増(同0.5%増)となった。自動車・同部品は同0.2%増(同1.7%減)と、前月の大幅減から持ち直した。

 百貨店はオンライン小売との競争激化で前月比0.1%増(同0.6%減)にとどまったが、6カ月ぶりに増加。オンライン小売も同0.3%増(同0.1%減)と増加に転じた。

 一方、減少したのはアパレル、電子機器・家電、ヘルスケア、ガソリンの4業種。減少幅が最も大きかったアパレルは前月比3.1%減(12月は2.7%増)で、09年3月以来約11年ぶりの低水準。次いで電子機器・家電も同0.5%減(同0.4%増)となった。

 月ごとに変動が激しいガソリンスタンドは、ガソリン価格の下落を反映し、前月比0.5%減と19年12月の同1.7%増から4カ月ぶりに減少に転じた。全体の小売売上高から月ごとに変動が激しいガソリンスタンドと自動車・同部品を除いた実質の小売売上高は同0.4%増と19年12月の同0.5%増から伸びが鈍化した。

 また、ガソリンスタンドだけを除いた小売売上高は同0.3%増(19年12月は横ばい)と19年8月の同0.7%増以来、5カ月ぶりの高い伸びとなり、ガソリン価格の低下が他の財・サービスの消費拡大に寄与した格好。自動車・同部品だけを除いた小売売上高も同0.3%増(同0.6%増)となり、市場予想と一致した。

 一方、ガソリンスタンドと自動車・同部品に加え、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比横ばいと、前月の同0.2%増を下回り、伸びが鈍化。市場予想の同0.3%増も下回った。1-3月期GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費へのインパクトは限定的になるとみられる。

 1月小売売上高が緩やかな伸びにとどまったことを受け、米10年債利回りは発表前の1.602%から1.585%と0.017ポイント低下し、利下げ圧力がやや高まった。ただ、市場では新型コロナウイルスの感染拡大による米経済への影響が明確にならない限り、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回3月17-18日FOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置くと見ている。

 パウエルFRB議長も12日の上院銀行委員会の公聴会で、新型コロナウイルスの影響がすぐに米経済に及んだとしても、「現在の強い雇用市場と堅調な賃金の伸びが続かなくなる根拠はない」と証言し、米経済の先行き見通しに強い自信を示した。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ