FOMC、政策金利を据え置き―金利見通しは上方修正

経済

2023/6/15 9:37

<チェックポイント>

●インフレへの警戒がややトーンダウン―労働需給は依然ひっ迫と

●利上げ再開の可能性を示唆―据え置きは一時的と強調

●ドットチャート、23年末時点の予想を5.6%に引き上げ

 FRB(米連邦準備制度理事会)は14日のFOMC(公開市場委員会)会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.00-5.25%に据え置くことを全員一致で決めた。市場予想通りだった。据え置きは22年1月の会合以来。前回の5月会合まで10会合連続で利上げを継続し、利上げ幅は5ポイントに達していた。

 FRBは声明文で、インフレについて「高止まりしている」と、前回の「引き続き上昇している」からトーンダウン。金融システム不安も景気を冷やし、利上げに相当するインフレ抑制効果があるとした。一方、雇用市場は旺盛で失業率も低く、労働需給は依然としてひっ迫していると指摘。パウエルFRB議長は会見で、FRBがインフレ率を2%上昇に抑制するために尽力することを改めて表明。「大半のFOMC委員は追加利上げの可能性が高い」とし、今回の据え置きは一時的であることを強調している。

 また、今回の会合では、FOMC委員による金利予測を示す「ドット・チャート」が更新されており、23年末時点の予想が中央値で5.6%と、前回の5.1%から引き上げられた。年内に0.25ポイント分の利上げを2回見込んでいることを意味する。また、多くの委員が24年までにインフレが減速し、利下げに転換するとみているが、24年末時点の予想は中央値で前回の3.1%から3.4%に上方修正され、金融引き締めの長期化が示唆された。

 GDP(国内総生産)伸び率の見通しについては、23年が前回予測の0.4%増から1.0%増、24年が同1.2%増から1.1%増、25年が同1.9%増から1.8%増(同1.9%増にそれぞれ修正された。

 失業率は、23年が前回予測の4.5%から4.1%、24年が同4.6%から4.5%、25年が同4.6%から4.5%と、いずれも引き下げられている。

 また、PCE(個人消費支出)物価指数でみたインフレ率の見通しは、23年のコア指数が前回予測の3.6%上昇から3.9%上昇に引き上げられ、24年は2.6%上昇と前回予測が据え置かれたが、25年が同2.1%上昇から2.2%上昇に引き上げられ、高止まり懸念が示された。全体指数は、23年が前回予測の3.3%上昇から3.2%上昇に引き下げられたが、24年は2.5%上昇、25年は2.1%上昇と、どちらも前回予測が据え置かれた。

 次回会合は7月25-26日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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