<新興国eye>前週の上海総合指数、景況感悪化や米中関係懸念を受け反落=BRICs市況

新興国

2023/7/10 9:12

 前週(3-7日)の中国株式市場は主要指標である上海総合指数が週間ベースで反落。7日は3196.61(6月30日終値比0.17%安)だった。

 週明け3日は指数が上昇、翌4日まで3営業日続伸した。5日は反落。6日も続落した。

 週前半は、イエレン米財務長官の訪中(6-9日)が正式決定したことを受け、米中関係の改善期待が高まり、買いが優勢となった。また、前週末、中国人民銀行(中銀)の貨幣政策委員会で通貨人民元の安定化方針が確認されたことで、元安懸念が後退したことや、追加金融緩和も示唆されたことも支援材料となった。

 その後は、元高が進んだことや、人民銀が元相場の取引の基準値(レファランス・レート)を元高方向に設定したことを好感、買いが一段と強まった。また、政府が景気刺激策を強めるとの思惑も買い材料となった。個別銘柄では政府が一部の半導体素材(ガリウムやゲルマニウム)の輸出を管理すると発表したことを受け、雲南臨滄キン円ゲルマニウム業などの金属株が買われ、上げを主導した。

 週後半は、売りが優勢となった。6月CAIXIN(財新)中国サービス業PMI(購買担当者景気指数)が53.9と、前月の57.1や市場予想(56.2)を下回り、5カ月ぶりの低水準となり、景気回復の遅れが懸念された。また、米政府が中国企業のクラウドサービスへのアクセスを禁止するとの観測報道を受け、米中関係の悪化懸念が高まったことも嫌気された。

 その後は、引き続き、景気回復懸念や米中関係悪化懸念が重石となり、売りが広がった。また、米証券大手ゴールドマン・サックスが中国のソブリン債への懸念を理由に一部の大手行の投資判断を引き下げたため、金融セクターが下落、下げを主導。ただ、イエレン財務長官が北京を訪問、中国の政府高官と協議したことが好感されたため、下値は限られた。

 週末7日は3日続落。米当局がニューヨーク市場に上場している中国企業約12社に対し、新たな検査を開始したとの報道を受け、両国関係の悪化懸念が強まり、売りが優勢となった。コンピューターや半導体関連のセクターが売られ、下げを主導した。

 今週(10-14日)の株式市場は台湾情勢やハイテク産業を巡る米中関係、世界経済の動向、海外の金融市場の動向、国内では景気対策、人民元相場、石炭や原油などのコモディティー相場も注目される。主な経済指標の発表予定は10日の6月CPI(消費者物価指数)と6月WPI(卸売物価指数)、13日の6月貿易収支など。

<関連銘柄>

 上証50連動<1309.T>、上場パンダ<1322.T>、上場チャイナ<1548.T>、

 H株ブル<1572.T>、H株ベア<1573.T>、中国A300<1575.T>、

 南方A50<1576.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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