<新興国eye>前週のブラジル株、米国債格下げや主要企業ニュースを受け続落=BRICs市況

新興国

2023/8/7 8:56

 前週(7月31日-8月4日24-28日)のブラジル株式市場は4日のボベスパ指数が前日比0.89%安の11万9507.7、週間ベースでは7月28日終値比0.57%安と、続落した。

 週明け31日は指数が上昇。8月相場入りした翌1日は反落、3日まで3日続落した。

 週前半は、中銀の金融政策決定会合(2日)が間近に迫る中、最近のインフレ低下を背景に0.5ポイントの利下げ期待が強まり、買いが優勢となった。また、中銀の経済週報で、23年のインフレ見通しが4.84%上昇に引き下げられた一方で、23年実質GDP伸び率の見通しも2.24%増に据え置かれたことも好感された。個別銘柄では国営石油大手ペトロブラスが新しい配当政策を決めたことを受け、急伸、上げを主導した。

 その後は、サンパウロ州の上・下水道を管理するサベスプ(サンパウロ州基礎衛生公社)が急落、下げを主導した。州政府が同社の民営化プロセスを継続すると発表したことが背景。また、重要な貿易相手国である中国が一連の景気支援策を発表したが、市場ではこれらの措置の有効性に懐疑的となったことも売り材料となった。

 週後半は、中銀の金融政策決定の結果待ちとなり、積極的な買いが手控えられる中、マイナス圏で引けた。また、米英大手信用格付け会社フィッチ・レーティングスが米国債格付けを引き下げたことも売り材料となった。カード決済処理大手シエロも四半期決算で大幅増益となったものの、失望売りが広がり、下げをけん引。その後は、海外株安となり、ブラジル市場でも売りが強まった。フィッチによる米国債格下げを受け、世界景気のリセッション(景気失速)懸念でリスク投資回避の動きが広がったことが背景。また、引け後のペトロブラスと金融大手ブラデスコの決算発表待ちとなり、積極的な買いが手控えられた。

 週末4日は4日続落。注目された米7月雇用統計は新規雇用者数が予想を下回ったものの、雇用市場は依然堅調で、米国のインフレ圧力が高まったとして、売りが優勢となった。中銀は3年ぶりに利下げを決定を受け、市場ではブラジルが利下げサイクルを開始する一方で、米国の高金利を反映、利回りの高い米国債に資金が流出するとの懸念が強まった。また、ペトロブラスと金融大手ブラデスコの四半期決算がいずれも減益となったことも嫌気され、下げをけん引した。

 今週7-11日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策なども注目される。主な経済指標の発表予定は7日の7月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-DIインフレ指数(全国卸売物価指数)や9日の6月小売売上高、10日の6月サービス業成長率、11日の7月IPCA(拡大消費者物価指数)と6月IBC-Br経済活動指数など

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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