<新興国eye>前週の上海総合指数、弱い経済指標や不動産危機などを受け3週ぶり反落=BRICs市況

新興国

2023/8/21 9:09

 前週(14-18日)の中国株式市場は主要指標である上海総合指数が週間ベースで3週ぶりに反落。18日は3131.95(11日終値比1.8%安)だった。

 週明け14日は指数が下落、16日まで4営業日続落した。17日は反発。

 週前半は、中国の7月銀行融資統計で新規融資が前月比89%減と、09年後半以来の低水準となり、市場予想も下回ったことを受け、景気後退懸念が強まり、売りが優勢となった。不動産開発大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)のデフォルト(債務不履行)懸念も売り材料。その後は、7月鉱工業生産と7月小売売上高がいずれも伸びが鈍化、市場予想を下回り、景気後退懸念から売りが一段と強まった。中国人民銀行(中銀)は資金供給ツールである1年物中期流動性ファシリティ(MLF)金利を市場の予想に反し、0.15ポイント引き下げたが、反応薄だった。また、外国人投資家の売り越しが7営業日連続となったことも売り材料。

 週後半は、7月の新築住宅価格が前月比0.2%低下と、今年初めて前月比で低下したことや、前日発表された7月不動産投資も17カ月連続で減少したことが嫌気され、売りが優勢となった。市場では中国の23年GDP伸び率見通しを4.5%増と、従来予想の4.9%増から下方修正している。その後は、国務院(内閣に相当)の閣議で、今年の経済成長の目標達成に向け、政策調整を強化する方針が決まり、今後数カ月中に景気刺激策が示されるとの思惑で買いが優勢となった。ただ、不動産危機の深刻化や金融セクター、特に、シャドー・バンキング(銀行以外の金融機関が行う金融仲介)への悪影響が嫌気され、上値は限られた。また、資産運用大手の中植企業集団が資金難に直面、債務再編を行うとの観測報道も懸念材料となった。

 週末18日は反落。消費拡大や不動産セクター支援の具体的な対策がないため、失望売りが強まった。不動産開発大手の中国恒大集団が前日、日本の会社更生法にあたる米連邦破産法第15条の適用をニューヨーク連邦裁判所に申請したことや、同業大手の碧桂園の経営危機も売り材料。

 今週(21-25日)の株式市場は台湾情勢やハイテク産業を巡る米中関係、世界経済の動向、海外の金融市場の動向、国内では景気対策、人民元相場、石炭や原油などのコモディティー相場、人民銀の8月ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)の発表(21日)も注目される。主な経済指標の発表予定はない。

<関連銘柄>

 上証50連動<1309.T>、上場パンダ<1322.T>、上場チャイナ<1548.T>、

 H株ブル<1572.T>、H株ベア<1573.T>、中国A300<1575.T>、

 南方A50<1576.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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