<新興国eye>トルコ中銀、予想上回る7.5ポイント引き上げ―今後も段階的利上げを示唆

新興国

2023/8/25 8:53

 トルコ中央銀行は24日の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を7.50ポイント引き上げ25.00%とすることを決めた。市場の予想は2.50ポイントの小幅利上げだったため、サプライズとなった。

 利上げ幅が予想を大幅に上回ったことを受け、外為市場では通貨トルコリラがドルに対し、一時、2%超上昇した。今回の7.50ポイントの大幅利上げは6月会合で決めた6.50ポイントの利上げを上回り、リラの上昇圧力を高めたと見ている。

 中銀は2月6日の大震災を受け、震災復興を支援するため、2月会合で22年11月以来3会合ぶりに利下げに踏み切ったが、3月会合で現状維持に転換。5月会合まで3会合連続で据え置いたが、新総裁に就任したハフィゼ・ガイ・エルカン氏の下で、初めて開かれた6月会合で、21年3月以来2年3カ月ぶりに利上げに転換。これで利上げは前回7月会合に続き、3会合連続となる。25.00%の金利水準は18-19年の24.00%を超え、過去最高を更新した。

 中銀は会合後に発表した声明文で、大幅利上げについて、前回会合時と同様、「できるだけ早くディスインフレ(物価上昇率の低下)への道筋を確立し、インフレ期待を抑制、(企業の)価格設定行動の悪化(値上げ)を抑制するための金融引き締めプロセスを継続する」としている。

 また、中銀は「最近の指標は、インフレが引き続き上昇していることを示している。国内需要の堅調な推移や賃金、為替レート(通貨安)から生じるコスト圧力、サービスインフレの強さ、税制などが主な要因だ」とした上で、「原油価格の上昇も後押しし、インフレ期待と企業の価格設定行動の予想以上の悪化は年末のインフレ率が経済予測の範囲の上限に近づくことを示している」と警戒感を強めている。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「金融引き締めは、インフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、適時かつ段階的に必要なだけさらに強化される」とし、その上で、「インフレ指標(全体指数)とコアインフレの動向を注視、物価安定という主目的に沿って、あらゆる金融政策ツールを断固として使用し続ける」とし、段階的に追加利上げを続ける方針を改めて強調した。

 また、中銀は前回の会合で決めた、利上げによる金融引き締め効果を支援するための量的金融引き締め措置を継続することも明らかにした。これはリラ安から企業や消費者の貯蓄を守るため、21年末に導入された、リラ建ての「為替保護預金(KKM)」制度(預金を外貨換算した際、目減りした損失を補填)を廃止、通常のリラ預金口座への資金移動を進める措置で、市場では0.40ポイントの利上げ効果があると見ている。

 中銀がこれまで採用してきた、トルコリラの急落を阻止するリラリゼーション戦略については、今回の会合でもリラリゼーション戦略に関する文言は避けられた。6月会合時と同様、「市場メカニズムの機能を高め、マクロ金融の安定を強化する。そのため、既存のミクロとマクロ・プルーデンスな政策(金融システムの安定を目指した政策)の枠組みを簡素化、改善する」とし、リラの相場変動を市場のメカニズムにまかせる考えを示している。リラリゼーション戦略とは金融システムでのトルコリラの利用拡大により、インフレ加速要因となるトルコリラ安を阻止し、物価安定を目指すという戦略。

 次回の金融政策決定会合は9月21日に開かれる予定。

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