<新興国eye>前週のインド株、FRB議長講演控えた慎重さやインフレ懸念に5週続落=BRICs市況

新興国

2023/8/28 9:05

 前週(21-25日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の25日終値は前日比0.56%安の6万4886.51、週間ベースでは18日終値比0.1%安と、5週続落した。

 週明け21日は指数が上昇。23日まで3日続伸した。24日は反落。

 週前半は、前週末、中国の景気後退懸念や米追加利上げ観測を嫌気し、急落したITセクターが買い戻され、上げをけん引。個別銘柄では建設大手KECインターナショナルが大型受注を受け、急騰、相場を押し上げた。ただ、指数の構成ウエートが高い複合企業大手リライアンス・インダストリーズと、同社から分社化、新規上場したジオ・フィナンシャル・サービシズが下落したため、上値は重くなった。

 その後は、複合企業大手ゴータム・アダニ・グループ傘下企業が急騰、上げをけん引した。米投資会社GQGパートナーズが港湾運営大手アダニ・ポーツの持ち分比率を引き上げたことが背景。ただ、ジオ・ファイナンシャルの下げが止まらず、前日、上昇したIT株も売られたため、上げは限定的となった。

 週後半は、インド準備銀行(中銀)の議事録公表と、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長によるワイオミング州ジャクソンホール講演を間近に控え、積極的な買いが控えられる中、アルミ大手ヒンダルコ・インダストリーズが買われ、金属株を中心に上げを主導。年次株主総会で200億ルピー規模の鉄道新技術投資計画を発表したことが背景。また、インドの無人月面探査機「チャンドラヤーン3号」の部品を製造したエンジニアリング大手のラーセン・アンド・トゥブロ(L&T)やMTARテクノロジーズ、パラス・ディフェンスなど航空宇宙企業も堅調となった。

 その後は、チャンドラヤーン3号の月面着陸成功が好感され、航空宇宙関連セクターを中心に買いが優勢となったが、インド準備銀行の議事録公表と、パウエルFRB議長によるジャクソンホール講演を控え、慎重な取引となったことや、F&O(先物・オプション)取引のSQ(特別清算指数)算出で引けにかけ、売りが強まった。

 週末25日は続落。インド準備銀行の議事録で、ダス総裁が7-8月のインフレ率が大幅に上昇すると予想していることが嫌気され、金融とITを中心に売りが広がった。

 今週(8月28日-9月1日)のインド市場はウクライナ戦争と西側の対ロ制裁、原油価格の動向、世界経済、特に米・中・欧の景気動向や金融政策、米中関係、インド国内のインフレ動向、主要企業ニュースも注目される。主な経済指標の発表予定は31日の4-6月期GDP伸び率と7月インフラ部門生産高、7月財政収支、1日の8月日経インド製造業PMI(購買担当者景気指数)など。

<関連銘柄>

インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、インドベア<2047.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ