<新興国eye>前週のブラジル株、新財政枠組法案の下院可決などを受け5週ぶり反発=BRICs市況

新興国

2023/8/28 9:09

 前週(21-25日)のブラジル株式市場は25日のボベスパ指数が前日比1.02%安の11万5837.2、週間ベースでは18日終値比0.37%高と、5週ぶりに反発した。

 週明け21日は指数が下落。翌22日は反発した。23日も続伸。24日は反落した。

 週前半は、国内のインフレ上ブレリスクが強まったことを受け、売りが優勢となった。ブラジル中銀の経済週報「フォーカス・ブルティン」で、23年のインフレ見通しが前週予想の4.84%上昇から4.9%上昇に引き上げられたことが背景。また、需要な貿易相手国である中国の景気後退懸念に加え、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長のワイオミング州ジャクソンホールでの講演(25日)を控え、米金利上昇懸念も相場の重石となった。

 その後は、海外株高を受け、ブラジル市場でも買いが優勢となった。また、指数の構成ウエートが高い鉱山大手ヴァーレが鉄鉱石相場の上昇を受け、上げをけん引したことや、政府の財政支出を制限する新財政枠組法案の下院採決への期待感も支援材料となった。

 週後半は、海外株高や、新財政枠組法案が修正後、下院で可決されたことが好感され、買いが一段と強まった。また、個別銘柄では指数の構成ウエートが高い国営石油大手ペトロブラスが急伸、上げをけん引。その後は、ヴァーレが鉄鉱石相場の下落を嫌気して売られ、下げを主導した。また、パウエルFRB議長のジャクソンホール講演を翌日に控える中、米週間新規失業保険給付申請件数が市場予想を下回り、インフレリスクが高まったことを受け、米追加利上げ懸念が強まったことも売り材料となった。

 週末25日は続落。8月中旬時点のIPCA(拡大消費者物価指数)が前月比0.28%上昇と、市場予想(0.15%上昇)を大幅に上回ったことが嫌気され、売りが強まった。中銀は8月会合で0.50ポイントの利下げを決め、次回9月会合でも同規模の利下げを示唆したが、今回のインフレ上ブレリスクを受け、市場の0.75ポイントの大幅利下げ期待が後退したことが背景。また、パウエルFRB議長がジャクソンホール講演で、追加利上げの可能性を示唆したことも売り材料となった。

 今週(8月28日-9月1日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策、BRICs首脳会議(22-24日)なども注目される。主な経済指標の発表予定は30日のジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)8月IGP-MIインフレ指数と、7月PPI(生産者物価指数)、31日の7月財政収支、1日の4-6月期GDP伸び率と、8月貿易収支、8月S&Pグルーバル・ブラジル製造業PMI(購買担当者景気指数)など。

<関連銘柄>

ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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