<新興国eye>ハンガリー中銀、予想通りベース金利を据え置き―上限金利は1ポイント引き下げ

新興国

2023/8/30 8:45

 ハンガリー中央銀行は29日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を13.00%に据え置くことを決めた。ほかの主要政策金利はベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を12.50%に据え置いたが、上限を示す翌日物有担保貸出金利は1ポイント引き下げ、16.50%とした。市場の予想通りだった。

 中銀はウクライナ戦争のぼっ発(22年2月24日)以降、インフレ抑制のため、ベース金利の引き上げを継続。22年6月会合で1.85ポイント、翌7月12日の臨時会合で2.00ポイント、同9月会合で1.25ポイント引き上げた。同10月会合から据え置き転換、利上げは17会合連続で止まったが、利上げ幅は計12.40ポイントに達し、金利水準も99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となっている。ベース金利の据え置きはこれで11会合連続。他方、レンジの上限金利の引き下げは5会合連続となる。

 また、中銀はベース金利のオプションとして、景気を支援するため、高目に設定されている超過準備預金への付利金利(翌日物預金金利)を現行の15.00%から14.00%に1.00ポイント引き下げることを決めた。中銀は5月会合で3年ぶりに引き下げており、これで引き下げは4会合連続。

 これは金融システムの流動性を緩和方向に調整する措置。前回7月会合時、中銀は金融政策の正常化に向けた金融緩和措であることを強調、その上で、「リスク見通しが持続的に改善すれば、ベース金利に徐々に収束させていく」としている。市場では次回9月26日会合で、さらに1.00ポイント引き下げられ、ベース金利と一致、年末までに11.00%に引き下げられると予想している。

 ベース金利を据え置いたことについて、中銀は前回会合時と同様、「ベース金利の現在の水準はインフレリスクを管理するのに適切な水準だ」とした上で、今後の金融政策については、前回会合時と同様、「現在のベース金利の水準を維持することで、インフレ期待が確実に抑制され、物価目標が持続的に達成される」とし、前回会合時と同様、据え置きを継続する考えを示した。中銀のバルナバス・ビラグ副総裁は前回7月会合後の会見で、「中銀の金融政策は9月以降も変わらない」と述べている。

 7月のインフレ率は全体指数が前年比17,6%上昇(6月は20.1%上昇)、コア指数は同17.5%上昇(同20.8%上昇)と、急減速しており、中銀は今後の見通しについて、前回会合時と同様、「ディスインフレは引き続き加速しており、その結果、インフレ率は秋には1ケタに低下する」とし、その上で、「25年初めにはインフレ率は物価目標の許容範囲内に収束する」との見通しを示している。

 次回の金融政策決定会合は9月26日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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