<新興国eye>トルコ4-6月期GDP、予想上回る前年比3.8%増―前期からやや減速も堅調維持

新興国

2023/9/1 8:57

 トルコ統計局が8月31日発表した4-6月期GDP(国内総生産)伸び率(季節調整後、09年=100として)は前年比3.8%増と、前期(1-3月期)の3.9%増(改定前は4%増)からやや伸びが減速したが、堅調を維持、市場予想(3.3-3.5%増)を上回った。ただ、22年全体の前年比5.5%増を下回っている。

 他方、前期比は3.5%増と、前期の0.1%減(改定前は0.3%増)から伸びが急加速、21年7-9月期(3.6%増)以来の高い伸びとなった。前期は大震災(2月6日発生)の影響を受け、成長拡大の勢いが弱まったが、当期は震災の悪影響から脱し、回復を見せた。

 メフメト・シムセク財務相は、「世界的な信用逼迫と世界貿易の縮小にもかかわらず、震災の悪影響を緩和する対策を講じたことにより、4-6月期もトルコ経済は力強い成長を続けた」とし、依然、経済は堅調を維持しているとの認識を示した。その上で、「今後は内需と外需のバランスを回復するための措置を講じていく」としている。また、同相は23年の成長率見通しを約4.5%増と予想した。

 主な内訳はGDPの約62%を占める家計最終消費支出(個人消費)が前年比15.6%増と、前期の同17.3%増から伸びが減速したが、12期連続のプラスとなり、全体伸びを支えた。ただ、前期比は0.7%減と、前期の同12.8%増から伸びが急速に鈍化している。

 GDP押し上げ要因の輸出は前年比9%減と、3期連続で減少。前期の2.6%減から減少幅が3倍超に拡大した。一方、GDP押し下げ要因の輸入は同20.3%増と、前期の同14.2%増を上回り、7期連続で増加した。輸出の伸びが輸入を下回ったため、外需全体としてGDPの押し下げに寄与している。

 総固定資本形成は同5.1%増と、3期連続の増加となり、前期の同3.7%増から伸びが加速した。政府最終消費支出は同5.3%増と、前期の同6.1%増を下回った。

 前期に比べ、個人消費と輸出の伸びが鈍化したものの、市場では大震災からの経済回復と5月大統領選挙前の景気刺激策が成長に寄与したと見ている。

 他方、生産面で見たGDP伸び率(前年比)の主な内訳は、その他サービス業が6.6%増(前期は7.3%増)、と、最も高い伸びとなった。次いでサービス業(卸売業、小売業、輸送、保管、宿泊施設、食品サービス活動)の6.4%増(同12.1%増)、建設業は6.2%増(同4.5%増)、公共行政・教育・医療・社会福祉は5.1%増(同3.3%増)、金融・保険業は4.9%増(同14.9%増)と、いずれもGDP伸び率(3.8%増)を上回った。このほか、不動産業は3.2%増(同2.1%増)、情報・通信業は1.3%増(同8.9%増)、農林水産業は1.2%増(同1.4%減)。

 対照的に、鉱工業が2.6%減(同1%減)と、最も低い伸びとなった。このうち、製造業は同1.9%減(同1.4%増)。行政支援などの専門職サービスは1.2%減(同10.6%増)となっている。

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