【為替本日の注目点】米長期金利2007年以来となる高水準に

為替

サーチナ

2023/9/20 10:18

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 FOMCを控え小動きながら米金利の上昇にドル円も上昇。147円92銭までドルが買われたが、148円台載せには至らず。ユーロドルはやや上昇し、1.0718近辺まで買われる。株式市場は3指数が揃って反落。米金利の上昇に加え、原油高も重荷に。債券は反落。長期金利は一時4.36%台まで上昇し、2007年以来となる高水準に。金と原油は4日続伸。

マーケット情報

8月住宅着工件数 → 128.3万件

8月建設許可件数 → 154.3万件

ドル/円 147.64~ 147.92

ユーロ/ドル 1.0677 ~ 1.0718

ユーロ/円 157.80 ~ 158.28

NYダウ -106.67 → 34,517.73ドル

GOLD +0.30 →  1,953.70ドル

WTI +0.28 → 91.20ドル

米10年国債 +0.056 → 4.359%

本日の注目イベント

日 8月貿易統計

独 独8月生産者物価指数

英 英8月消費者物価指数

米 FOMC政策金利発表

米 パウエル議長記者会見

 FOMCに日銀決定会合と、日米中央銀行の金融政策発表を前にして小動きでしたが、それでもドル円はジリ高が続き、NYでは一時147円92銭まで上昇。連日148円テストを試みていますが、今回も「お預け」といった状況でした。ドルが買われた原因は、米金利の上昇でした。米長期金利は一時4.36%台まで上昇し、2007年以来となる高水準を付けました。もっとも、その源をたどれば、原油高に行き着きます。WTI原油価格は引けでは小幅に4日続伸でしたが、一時は93ドル74セントまで買われ、連日直近の高値を更新しています。原油高はガソリン価格などの上昇にもつながり、「米インフレの再燃懸念」が想起され、再び政策金利引き上げに結び付き易いことからドルが買われるといった構図です。FRBにとっても、原油価格の高騰は「天敵」と言えます。順調に低下傾向を見せ、これまでの政策に自信を深めているFRBにとっては、とんだ「伏兵」といったところでしょう。今後も原油価格の動きが米金利を左右する可能性があり、目配せも必要です。イエレン財務長官はインタビューで「最近の原油価格の上昇は望ましくないが、いずれ安定するはずだ」と語っています。この日は、カナダの8月の消費者物価指数(CPI)が前月比で「0.4%」と、市場予想の2倍に伸びたことも影響したようです。

 OECDは19日、世界経済の見通しを発表しました。それによると、世界全体の成長率は今年が「3%」、2024年は「2.7%」と、新型コロナのパンデミックが始まった20年を除けば、24年は世界的な金融危機以降で最も低い成長率になると予想しています。「世界各国・地域が利上げを続け、新型コロナウイルス禍から回帰していた中国経済が勢いを失っている」ことをその理由に挙げていました。24年の主要国のGDPは、米国が「1.3%」、日本が「1.0%」、ユーロ圏は「1.1%」、そして中国が「4.6%」と、ユーロ圏以外の国は23年度と比べ、いずれも成長が鈍化すると見られています。

 米長期金利が2007年以来となる高水準を付けましたが、米金利との相関が高いドル円は148円目前で足踏み状態です。昨年10月にドル円が151円95銭近辺まで上昇した際の米長期金利は「4.32~4.33%」でした。今回はその水準を若干ですが上回ったにもかかわらず、ドル円の水準は4円ほど「円高方向」で推移しています。もちろん、ドル円の水準は金利差だけで決まるものではありませんが、金利差が最大の要因であることは間違いありません。考えられるのは、この4円の差は「介入警戒感」と、「日銀金融政策決定会合の不透明さ」に由来している可能性が高いということです。財務省は145円を超える円安が進んでも、単に「口先介入」だけにとどめ、「実弾介入」は封印しています。それだけに不気味といえば不気味ですが、今朝その介入を巡るイエレン財務長官のコメントが伝わってきました。

 イエレン長官は、日本の通貨当局が外為市場で円買い介入に動く場合、米財務省は容認するのかとの質問に対し、「大いに詳細に左右されるだろう。こうした介入について、われわれはいつも彼らと連絡を取り合っている」と発言し、ボラティリティーを滑らかにするスムージングが目的であれば、理解できるとの認識を明らかにしました。(ブルームバーグ)この発言を受けて財務省の神田財務官は20日、「行き過ぎた変動には適切な対応をあらゆる手段を排除せず取っていく。引き続き高い緊張感を持って市場を監視・注視する」と財務省内で記者団に語っています。この両者の発言を考えると、「米財務省のお墨付きを得た」とし、今後ドル円がさらに上昇し、150円に接近する局面では「実弾介入」が行われる可能性が極めて高いと予想されます。もっとも、それでこのドル高の流れが変わるのかどうかは不明で、さらに足元の動きのように、「ジリ高」で推移しているようだと、「行き過ぎた変動」とは言えないため、介入しにくいのも事実でしょう。推移をしっかりと見極めたいと思います。

 本日のドル円は146円30銭~148円80銭程度を予想します。パウエル議長が8月下旬のジャクソンホール会合で、「適切と判断すれば追加利上げに動く用意がある」と述べましたが、その姿勢に変わりはないのか、明日朝の会見での一つのポイントです。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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