【為替本日の注目点】「米9月の小売売上高、予想を上回る」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は欧州時間に乱高下する場面もあったが、米9月の小売売上高の発表をきっかけにドルが買われ149円85銭までドル高が進む。ユーロドルは前日と同じく、1.05台で推移。株式市場はまちまち。ダウは小幅高で引け、ナスダックとS&P500は小幅安。9月の小売売上高が市場予想を上回ったことで、米債券が大幅続落。長期金利は前日比+13bpに迫る大幅上昇。金は小幅に反発し、原油は変わらず。
マーケット情報
9月小売売上高 → 0.7%
9月鉱工業生産 → 0.3%
9月設備稼働率 → 79.7%
10月NAHB住宅市場指数 → 40
ドル/円 149.46 ~ 149.85
ユーロ/ドル 1.0539 ~ 1.0595
ユーロ/円 157.81 ~ 158.61
NYダウ +13.11 → 33,997.65ドル
GOLD +1.40 → 1,935.70ドル
WTI ±0 → 86.66ドル
米10年国債 +0.128 → 4.834%
本日の注目イベント
中 7-9月GDP
中 中国9月小売売上高
中 中国9月鉱工業生産
欧 ユーロ圏9月消費者物価指数(改定値)
英 英9月消費者物価指数
米 9月住宅着工件数
米 9月建設許可件数
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 バイデン大統領、イスラエル訪問
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会に参加
米 ウォラー・FRB理事講演
米 ボウマン・FRB理事、イベントで挨拶
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、イベントで挨拶
米 クック・FRB理事講演
米 企業決算 → P&G、モルガンスタンレー、ネットフリックス、テスラ、アルコア
イスラエルの本格的な攻撃が開始された可能性も考えられるかもしれません。ハマスの支配下にあるガザ市の病院がイスラエル軍の空爆で爆発し、パレスチナ人500人以上が死亡したと報じられています。イスラエル側はこの空爆を否定していますが、病院は避難場所にもなっており、多くの市民の命を奪ったこの空爆は、イスラエル側の反論の余地はありません。バイデン大統領はワシントンを発ち、まもなくイスラエルに到着することになっていますが、この訪問には、イスラエルを支援すると同時に、民間人の被害を回避する対策についてもネタニヤフ首相と話し合いをすることになっているようです。その矢先に、イスラエルの空爆により500人を超える民間人の犠牲者が出たことは世界中から非難されそうですが、すでにカナダのトルドー首相はこの事態を厳しく非難しています。イスラエル側は関与を否定し、パレスチナの過激派武装組織「イスラム聖戦」が誤って病院をミサイル攻撃したと説明していますが、このやりとりは、ロシアがウクライナの病院を攻撃し、多数の民間人を死亡させた際の「詭弁」に酷似しています。果たしてバイデン大統領はネタニヤフ首相と会談し、これ以上の民間人犠牲者を出さないよう説得出来るのか注目されます。ハマスはイスラエル人200人を人質にしており、今回の空爆に対する報復措置としてこれらの人質に危害を加える恐れもあります。
米9月の小売売上高は市場予想の「0.3%」を上回る「0.7%」でした。13カテゴリーのうち、8つで増加しており、飲食店や自動車ディーラー、パーソナルケア用品が特に大きく伸びていました。同指数の上振れで、米金融当局は金融引き締めを長期にわたって維持するとの観測が強まり、米長期金利は4.8%台へと急伸。ドル円は金利高に引き寄せられ149円85銭まで上昇しましたが、今回も150円台載せには至っていません。介入警戒感がくすぶるなか、米金利が上昇傾向を示している以上、なかなか円が大きく買われる場面がありません。あるとすれば、日銀が動くか、米労働市場が大きく鈍化するか、といったところでしょう。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は講演で、「インフレ軌道がまだはっきりしていない。これまでの行動が十分だったか、あるいはやるべき仕事がまだあるのか見極める時間はある」と述べ、「われわれは紙一重のところを進んでいる。修正が足りなければ、インフレが再燃する。修正し過ぎれば、景気に不必要なダメージをもたらす」と指摘し、中立的な見解に終始していました。また、「最善の政策ですら、外部のイベントによって妨げられる可能性がある。最近の中東でのニュースでそれを改めて思い知らされた」とも語っています。(ブルームバーグ)
中東情勢の悪化に目を奪われていますが、米下院議会ではマッカーシー氏が議長を解任されて以来、議長不在の状態が続いています。下院は17日議長選を行いましたが、本命である共和党のジョーダン下院議員は選出に必要な票に15票足りず、下院の議会運営はさらに混迷を極めています。共和党議員20人がジョーダン氏以外の人物に投票し、トランプ氏が支持するジョーダン氏への不信任を表明した格好になっています。下院での混迷がさらに続くようだと、ウクライナとイスラエルへの支援を含む2024度予算が決まらず、11月中旬には再び「米政府機関閉鎖問題」に直面することとなり、為替にも影響を及ぼすことになります。
ドル円は再びジリジリと上昇し、150円をテストする雰囲気になってきました。明日のパウエル議長の講演内容では上にも下にも動く可能性はありそうです。
本日のドル円は149円~150円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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