【為替本日の注目点】米長期金利5%に迫る

為替

サーチナ

2023/10/20 10:13

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 パウエル議長の講演を受け、米長期金利が一段と上昇し、ドル円は149円95銭まで買われる。今回も150円には届かず、膠着状態が続く。ユーロドルはやや水準を切り上げ、1.06台前半まで上昇。株式市場は米金融引き締めが長期化するとの見方が強まり、3指数は揃って大幅に続落。債券は続落。長期金利は一時4.992%まで上昇。5%が視野に。金と原油は続伸。

マーケット情報

新規失業保険申請件数 → 19.8万件

10月フィラデルフィア連銀景況指数 → -9.0

9月中古住宅販売件数 → 396万件

9月景気先行指標総合指数 → -0.7%

ドル/円 149.68 ~ 149.95

ユーロ/ドル 1.0556 ~ 1.0617

ユーロ/円 158.07 ~ 158.93

NYダウ -250.91 → 33,414.17ドル

GOLD +12.20 → 1,980.50ドル

WTI +1.05 → 89.37ドル

米10年国債 +0.075 → 4.990%

本日の注目イベント

日 9月消費者物価指数

独 独9月生産者物価指数

英 英9月小売売上高

米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演

米 米・EU首脳会議(ワシントン)

米 企業決算 → アメックス

加 カナダ9月小売売上高

 近いようで遠い「150円台」です。注目されたパウエル議長の講演でしたが、大きく動いたのは株式や債券、それに商品市場でした。ドル円は米金利の上昇に上値をうかがう展開でしたが、わずか5銭届かず、またしても150円台載せには至っていません。一方、かといって下値を試すわけでもなく、何ともストレスの溜まる動きが続いています。ドル円だけが動かないのは、ひとえに「介入警戒感」によるものでしょう。ただ安心するわけにはいきません。エネルギーが溜まっているだけに、一旦動き始めたら、上にも下にもかなり動く可能性があり、「動かない」と決め付けることは避けたいところです。

 パウエル議長はNY・エコノミック・クラブで、「追加引き締めの可能性を排除しないよう慎重に言葉を選んだ」(ブルームバーグ)議長は、「経済成長の強靭さと労働需給の底堅さを示している最近のデータに、われわれは留意している。経済成長が継続的に潜在成長率を上回っている兆候、ないし労働市場の引き締まりがもはや緩和していない兆候が新たに見られた場合、インフレに関する一層の進展にリスクが生じる可能性がり、金融政策の追加引き締めが正当化される」と語っています。また質疑応答での中では「政策が現在引き締めすぎである兆候はないと考えている」とも答えています。さらに「インフレはなお高すぎる。インフレがわれわれの目標に向けて持続的に低下しているという確信を得るには時間が必要で、数カ月の良好なデータはその始まりに過ぎない」と述べていました。また中東情勢の悪化にも触れ、「地政学的な緊張は、極めて高い状態にある」とも述べています。総合的に見れば、議長の発言は「タカ派的」で、ウォラーFRB理事やNY連銀総裁などがややハト派に転じて来たことで、「発言内容も若干変わるのではないか」と、個人的には期待をしていましたが、結局は今後のデータ次第であることを基本としながらも、追加利上げの可能性は残しておくといった慎重な姿勢を維持したということのようです。

 ガザ地区の病院が攻撃され500人もの犠牲者が出た件では、イスラエル、ハマスとも主張が異なっており現時点では真相は不明ですが、イスラエルのガザへの本格的な攻撃の可能性は残っています。バイデン大統領も今回の悲劇は、イスラエルが行ったものではないとの認識を深めており、これに対してイスラム諸国の反発も起きています。そのような状況のなか、米軍などが駐留するイラクの基地に19日夕方、ドローンとロケットによる攻撃があったとロイター通信が伝えています。今回の中東情勢の悪化は、ロシア・ウクライナ問題に比べ、数倍もリスクが高いとする専門家も多く、ヘッジファンド「エリオット・マネジメント」の創業者のシンガー氏は、「現在の世界情勢は、市場が織り込んでいるよりもはるかに危険であり、投資家はもっと心配すべきだ」と述べています。

 NYでは米金利の上昇に上値を試しますが、押し戻される展開が続いています。ここまで来たら少なくともあと一度は150円を試すと予想していますが、一方で介入警戒感が想定よりも強いのにも驚きです。本日のドル円は149円~150円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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