<新興国eye>カンボジア政府、フィンテック開発政策を発表

新興国

2023/10/27 8:44

 10月4日、カンボジア政府は、フィンテック開発政策2023-2028年(Cambodia Financial Technology Development Policy 2023-2028)を発表しました。プノンペンで開催されたワークショップには、デジタル経済・ビジネス委員会の委員長も務めるオウン・ポン・モニロット経済財政大臣、チア・スレイ中央銀行総裁をはじめ、関係者多数が参加しました。

 フィンテック開発政策の3本柱は、金融イノベーションの促進、金融安定性の維持、金融包摂の振興となっています。具体策としては、フィンテック開発を大きな木に例えて、「土」である開発環境の促進・支援政策、「根」となるデジタル基盤の育成、「幹」となる必要な技術の採用と進化、「枝」となるフィンテックの開発と革新の振興等を挙げています。

 さまざまなしがらみや規制で、新たな技術の導入が進まない日本と違って、カンボジア政府は、ITやフィンテック等の分野で新技術を積極的に導入しています。すでに、モバイルバンキングや電子支払、配車サービスやデリバリー等では、日本を凌駕していると言ってもよい状況となっています。開発途上国が、新たな技術を一気に導入して先進国に追いつき追い越していく「リープフロッグ(蛙飛び)」の好例と言えます。カンボジア政府の今後の積極的な政策立案・実施が期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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