【為替本日の注目点】ECB11会合ぶりに政策金利据え置きを決定

為替

サーチナ

2023/10/27 10:14

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 東京時間午後には150円78銭前後まで上昇したドル円はNYでは上値を重くする。米長期金利が大幅に低下したことで、150円08銭まで売られる。ユーロドルはECBが政策金利を据え置いたことで、1.0520まで売られたがその後反発。株式市場は3指数が続落。ハイテク株が総崩れとなり、ナスダックは225ポイント下げる。債券は大きく買われ、長期金利は4.84%台へと急低下。連日荒っぽい動きが続く。金は続伸し、原油は反落。

マーケット情報

新規失業保険申請件数 → 21.0万件

7-9月GDP(速報値) → 4.9%

9月耐久財受注 → 4.7%

9月中古住宅販売成約件数 → 1.1%

ドル/円 150.08 ~ 150.50

ユーロ/ドル 1.0520 ~ 1.0565

ユーロ/円 157.99 ~ 158.90

NYダウ -251.63 → 32,784.30ドル

GOLD +2.50 → 1,997.40ドル

WTI -2.18 → 83.21ドル

米10年国債 -0.110 → 4.845%

本日の注目イベント

豪 豪第3四半期生産者物価指数

日 10月東京都区部消費者物価指数

米 9月個人所得

米 9月個人支出

米 9月PCEデフレータ(前月比)

米 9月PCEデフレータ(前年比)

米 9月PCEコアデフレータ(前月比)

米 9月PCEコアデフレータ(前年比)

米 10月ミシガン大学消費者マインド(確定値)

米 企業決算 → エクソンモービル、シェブロン

 ドル円は介入警戒感が強まるなか、昨日の東京市場の午後には150円78銭近辺まで上昇しました。昨日のコメントでも指摘したように、今月3日に150円16銭までドル高が進んだ際に、介入らしき動きから147円台半ばまで落とされた時と同水準を抜けても「動きがない」ことから、投資家はやや安心感を持ちながらドル買いを進めているようです。それまでは上値を試す動きは極めてゆっくりしたものでしたが、上記水準を超えてからは明らかに動きも変わってきています。また、ドル円が上記高値を付けた後、149円台後半まで急速に下げる場面がありましたが、これが介入やレートチェックだったかどうかは、今のところ判明しません。ただ、NYでは米長期金利が大きく低下したこともあり、上記高値を抜くことなく150円台前半まで売られています。

 米7-9月期のGDP速報値が発表されましたが、2021年以来となる急成長の「4.9%」でした。金利上昇が続く中でも個人消費が旺盛で、全体の指数を押し上げた形です。イエレン財務長官は上記結果を受け、「力強い数字で、経済が非常に好調なことを示す。このペースで成長が続くとは思っていないが、良好で堅調な成長を遂げている」と述べ、「米経済にとって非常に良い結果をもたらすソフトランディングのように見える」とコメントしていました。

 ECBは26日、11会合ぶりに政策金利の据え置きを決めました。ECBは声明文で、「金利をこの水準で十分に長く維持すれば、インフレ率を目標の2%に戻すことに大きく貢献するだろう」と発表しています。ラガルド総裁は会見で、「金融政策によくあることだが、政策効果の伝達には時間がかかる。ECBスタッフの判断によれば、政策はまだ伝達の過程であり、実体経済に今後さらに影響を与えていくだろう。効果波及は2023年末から2024年1-3月にかけて続くと想定している」と説明しています。またインフレについては、「長期的なインフレ期待の指標は、ほとんどが2%前後だが、それにもかかわらず、いくつかの指標は依然として高水準で、注意深く監視する必要がある」と述べています。

 イスラエルは、パレスチナ自治区ガザ北部で「局地的な地上戦」を開始したと発表しました。イスラエルが公表した映像によると、ガザ北部の境界線に設置されているフェンスをブルドーザーで破壊し、その後戦車が侵入し砲弾を発射しています。イスラエル軍は、「今回の攻撃は次の段階に向けた準備だ」としており、バイデン大統領が、「全面的な地上侵攻」を延期するようイスラエル側に要請していますが、ネタニヤフ首相は、地上侵攻の時期について、「いつ、どのようになど詳細は言えない」と述べています。今回の紛争による死亡者は双方ですでに8000人を超えている模様ですが、多くはガザ地区に住むパレスチナ人のようです。また予想されていたように、米国とイランとの間にも緊張が高まっています。シリアとイラクにある米軍施設がすでに攻撃を受けており、米国防総省はイランによるものと判断しているようです。米国防総省はすでに異例とも言える原子力空母2隻を中東地域周辺に配備しており、バイデン大統領も、「もし彼らが米軍に対して行動を続けるなら、われわれは反撃する。覚悟をしておくべきだ」と語っています。(日経新聞)比較的穏健なバイデン氏にしては、珍しく厳しい物言いかと思います。イスラエルが「地上侵攻」に踏み切ればイランも行動を起こし、中東情勢は一気に危険な状態になる可能性もありそうです。中東情勢のリスクを織り込むように、金と原油とドルが買われ、かつては「有事の円買い」であった円は、売られています。また、このような際には安全資産として米国債が買われてきましたが、今回は米金融当局の利上げの可能性が残っていることから、足元では株と債券が同時に売られる展開となっており、これまでの経験則では測れない状況とも言えます。

 昨日のドル円は150円台後半まで上昇した後不穏な動きになりましたが、150円台は維持しています。どこで介入があってもおかしくはありませんが、それでも足元ではドルが下がったら買うというスタンスは継続されています。中東情勢に金融政策の行方など、不透明な部分が多く存在しています。本日のドル円は149円50銭から151円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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