【為替本日の注目点】ドル円、昨年10月以来となる151円台後半まで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
日銀の決定会合の結果を受け、ドル円は東京時間午後に150円台を回復。NYでは米金利の上昇もあり、151円74銭まで上昇。ドル円に引っ張られ、ユーロドルも1.0556まで下落。ユーロ円は欧州で160円82銭前後まで上昇し、ユーロの下落は限定的。株式市場は3指数が揃って続伸。銀行株などが上昇をけん引しダウは123ドル高。債券は続落。長期金利は4.93%台に上昇。金は5日ぶりに反落。原油は反落し81ドル台に。
マーケット情報
7-9月雇用コスト指数 → 1.1%
8月ケース・シラ-住宅価格指数 → 2.16%
8月FHFA住宅価格指数 → 0.6%
10月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 102.6
ドル/円 150.64 ~ 151.74
ユーロ/ドル 1.0556 ~ 1.0661
ユーロ/円 159.76 ~ 160.62
NYダウ +123.91 → 33,052.87ドル
GOLD -11.30 → 1,994.30ドル
WTI -1.29 → 81.02ドル
米10年国債 +0.036 → 4.931%
本日の注目イベント
豪 豪9月住宅建設許可件数
中 10月財新製造業PMI
米 10月ADP雇用者数
米 10月ISM製造業景況指数
米 9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
米 10月自動車販売台数
米 FOMC 政策金利発表
米 パウエル議長記者会見
日経新聞が30日の夜電子版で、「日銀は31日の金融政策決定会合で、現在1%としている長期金利の上限を柔軟にする案を議論する」と報じたことで、ドル円は30日のNYで148円81銭まで売られましたが、昨日の東京市場ではジリジリ買い戻され149円55銭までドルが反発しました。午後に入って決定会合の内容が伝えられるとドル円は一気に150円台まで上昇しました。日銀は声明文で、「長期金利の誘導目標を引き続きゼロ%程度としつつ、その上限のめどを1%とし、大規模な金融緩和を継続する」と発表。午後3時半からの会見で植田総裁も2%の物価上昇について、「十分な確度を持って見通せる状況には達していない」と述べ、現行の金融緩和策を継続する意向を見せていました。今後円金利が上昇するとの市場の期待は得られず、円売りが加速しました。
結局、市場が期待していたほど突っ込んだ円金利の修正は行われず、ハト派寄りの発言に終始したことで、円売りが加速したと考えます。NYでは円が一段と売られ、一時は151円74銭と、前日のNYの円高水準からは約3円も大幅な円安が進みました。円は対ドルだけではなく、ユーロ円も160円82銭近辺まで上昇し、およそ15年ぶりの円安を記録し、ポンド円も2015年11月以来となる高水準を付けるなど、まさに「円全面安」の様相です。日銀は31日の展望リポートで、2023年~25年度の消費者物価指数の見通しを引き上げ、23、24年度をともに「2.8%」にしました。これで、3年連続で2%の物価目標を大きく上回ることになります。(22年度の実績は3%)3年連続で2%の物価目標を大きく超える可能性が高いにもかかわらず上述のように、「十分な確度を持って見通せる状況には達していない」という見方から、現時点では依然として日銀が目指す「持続的、安定的に2%を超える物価上昇」には至らないと判断しているようです。
ドル円はNYで151円74銭まで買われ、再び昨年10月のドル最高水準に迫っています。長期金利の上限をこれまで厳格に1%としていたものの、柔軟化したことで、1%を超える水準も容認したことになりますが、これまで通り短期金利の「-0.1%」は維持し、大規模な金融緩和も継続され、「今回の決定会合後も大きな変化はない」ことが投資家の円売りを加速させています。さらに昨日19時に発表された「外国為替平衡操作の実施状況」では10月の介入額がゼロだったことが判明し、3日にドル円が150円16銭近辺から147円台半ばまで急落した動きは「単なるアルゴリズム取引であった可能性が高い」ことが判明したことも、投機筋や投資家を安心させた側面があります。最大の焦点は、ドル円が再び151円台後半まで上昇した本日、実弾介入があるのかどうかという点です。警戒感はさらに高まるはずですが、仮に介入がなければドル円は155円方向に向かう可能性がありそうです。もっとも、介入がなくて投資家が安心し切って、「ドルがさらに上昇した際に介入」といった手方も考えられます。いずれにしても慎重さは常に求められます。
連日中東情勢について触れていますが、パレスチナ自治区ガザ内部での戦闘は激しさを増しています。今朝の報道では、ガザの難民キャンプで爆発が起き数十人の死傷者が出た模様です。イスラエル軍の攻撃はハマスのインフラ設備を標的にしているようで、今後さらに大規模な地上戦も想定されます。ハマスも人質を前面に出し大規模な攻撃を回避しようとしており、イスラエルの判断と次の行動が注目されます。そのイスラエルへの支援案を巡り、米議会では上院では民主、共和両党が反対し、下院共和党の結束を目指すジョンソン新議長は難しい立場に追い込まれています。バイデン政権はウクライナとイスラエル両国への支援案を同時に成立させたい意向でしたが、ウクライナへの支援に反対する共和党に対してジョンソン議長はイスラエルへの支援を切り離して早期に成立させる計画でした。オースティン国防長官は、「ウクライナへの追加支援を供しなければ、ロシアの勝利を導く道を開く可能性がある」と非難していました。
本日の焦点は介入があるかどうかの一点です。150円50銭~152円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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