FOMC議事録、当分の間、金利据え置きの必要性で一致
2023/11/22 9:19
<チェックポイント>
●「すべての委員はしばらく抑制的な金融スタンスの維持が適切と判断」
●「多くの委員は景気の下ブレリスクは依然、残っていると主張」
●今後数カ月以内にあと1回の利上げが行われると予想
FRB(米連邦準備制度理事会)が21日に公表した、10月31日-11月1日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録では、「金融政策の議論を進めた結果、すべての委員はインフレ率が物価目標の前年比2%上昇に向かって明らかに持続的に低下するまで、金融政策はしばらく抑制的なスタンス(景気に打撃を与えることになる政策金利の水準)を維持することが適切であると判断した」とし、当分の間、金融政策を制限的に維持する考えで一致していることが分かった。
しかし、その一方で、議事録では今後の政策決定に影響を与える可能性について、「委員らは総じて金融政策のスタンスが制限的な領域にあることにより、物価目標の達成に対するリスクは一層、(インフレ率の上ブレと下ブレの)両面的なものになったと判断した」とし、制限的な金融政策スタンスが景気を冷やしすぎることへの懸念を示していることも明らかになった。議事録では、「景気下ブレリスクには信用ひっ迫や商業用不動産の低迷、世界の石油市場の混乱の可能性が含まれる」としている。
また、議事録では、「多くの委員は米経済は回復力があり、雇用市場は好調が続いているものの、景気の下ブレリスクは依然として残っていると主張した」とし、その上で、「こうしたリスクには金融や信用のひっ迫が総需要や銀行、企業、家計に予想よりも大きな影響を及ぼす可能性がある」とし、過去の累積的な利上げや賃上げを巡る自動車労組の長期スト、世界景気の後退、商業用不動産の低迷などが時間差を置いて経済に打撃を与えるリスクへの警戒感を強めている。最近でもFRBのリサ・クック理事は先週の講演で、「低所得世帯や中小企業、住宅業界について、財政的な困窮の兆候がないか注視している」と述べている
だが、議事録では、「インフレ率が依然として物価目標を大幅に上回っており、雇用市場も引き続きひっ迫していることから、大半の委員はインフレの上ブレリスクを引き続き認識している」と結論付け、当分の間、インフレ抑制を優先したい考えを示している。前回11月会合後の会見で、ジェローム・パウエル議長も金融政策が制限的に十分に引き締められていないことを強調している。
また、議事録では、「大半の委員は今後の経済指標が物価目標の達成に向けた進ちょくが不十分であることを示している場合、追加利上げが適切と主張した」としている。背景にはインフレの上ブレリスクは経済活動の勢いが続いているため、ディスインフレの進行が停滞するか、インフレが再加速するという懸念がある。その上で、議事録では大半の委員はインフレ抑制に失敗するリスクの方がより大きな問題だ、と指摘、景気後退よりもインフレ抑制を重視している。
FRB事務局では米10-12月期GDP伸び率の見通しについて、「7-9月期の速報値である前期比年率換算約5%増から著しく鈍化する」と予想しているものの、短期的にはリセッション(景気失速)に陥るとは見ていない。
FOMC委員の最新予測では、今後数カ月以内にあと1回の利上げが行われると予想されている。市場ではFRBは利上げサイクルを終了し、早ければ24年1ー3月期にも利下げに転換すると見ている。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:ウエルスアドバイザー社
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