【為替本日の注目点】ドル円再び147円台前半まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は続落。FRB高官のハト派的な発言に147円33銭までドル売りが進む。ユーロドルではよりドル安傾向が鮮明。ユーロは1.1009まで買われ、8月11日以来およそ3カ月ぶりの高値に。株式市場は3指数が上昇。米金利がピークアウトしたとの見方から3指数が買われたが、一方ですでに買われ過ぎとの見方も。債券は続伸。長期金利は4.32%台へと低下。ドル売りが進み、金利も低下したことで金は大幅続伸。一時2064ドル台まで買われる。原油は反発。
マーケット情報
9月ケース・シラ-住宅価格指数 → 3.92%
9月FHFA住宅価格指数 → 0.6%
11月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 102
11月リッチモンド連銀製造業景況指数 → -5
ドル/円 147.33 ~ 148.69
ユーロ/ドル 1.0946 ~ 1.1009
ユーロ/円 161.92 ~ 162.86
NYダウ +83.51 → 35,416.98ドル
GOLD +27.20 → 2,060.20ドル
WTI +1.55 → 76.41ドル
米10年国債 -0.066 → 4.321%
本日の注目イベント
豪 豪10月消費者物価指数
独 独11月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏11月景況感指数
欧 ユーロ圏11月消費者信頼感(確定値)
欧 OECD経済見通し
英 英10月消費者信用残高
英 ベイリー・BOE総裁講演
米 7-9月GDP(改定値)
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
ドル円は1週間ぶりに再び147円台前半まで売られてきました。FRB高官のハト派的な発言が相次ぎ、市場では米金融当局が利上げを終え、来年には利下げに転じるとの思惑が働き、ドル売りが進みました。ユーロドルではさらにドル安傾向が鮮明で、今年8月11日以来となる1.10台までドル安が進んでいます。金融引き締めステージの終了観測から、米長期金利も4.32%台まで低下し、これがドル売りを促していますが、ドル円はその割には円の上昇が緩やかです。
米長期金利との相関性を調べて見ると、米長期金利は10月23日に「5.018%」まで上昇し、昨日は「4.321%」近辺まで低下。この間の低下率は13.9%になります。一方ドル円は今月13日に151円91銭の高値を付け、昨日のNYではドル売りが進みましたが、147円33銭で下げ止まり、この間の下げ幅はわずか3.1%と、明らかに米金利の低下ほどドル売りは進んでいません。因みにユーロドルは10月に1.0448の安値を記録し、昨日は1.1009まで買われ、5.37%も「ドル安・ユーロ高」が進んでいます。ユーロは円の買われ方と明らかに異なっています。おそらくドル円は個人投資家の多くが「ドル高傾向は変わっていない」との相場観に基づき、ドルが下げたところでは確実に拾っていることが影響していると、個人的にはみています。筆者も現時点ではこの見方には賛成です。相場が「トレンド転換」したのかどうかの判断では、「日足」を軸に判断していますが、その「日足」では昨日の下げも「一目均衡表の雲の下限」で下げ止まっており、さらに雲の先端も上昇傾向を変えていません。ただ、一方で「一目均衡表」よりもサインの点灯が早い「MACD」では、ドル下落の兆候を示唆しています。言えることは、これまでとはドルを取り巻く環境が明らかに変わってきており、現在はその環境の変化が今後大幅なドル安につながるのか、あるいはこれまでにも何度か見られたように「ドル上昇の中での調整局面」であるのか、今はその「分岐点」にいるということです。そこは、今後特に柔軟なスタンスで相場と対峙していくことが重要で、あまり自身の相場観に囚われないことです。もし現在が「ドル安の入り口」であれば、下げ幅もこれまでとは大きく異なるからです。
FRBのウォラー理事はワシントンでの講演で、「経済を減速させ、インフレ率を2%に戻す上で政策が現在、好位置にあるとの確信を私は強めている」と述べ、「ここ数週間に目にした状況を心強く感じている。それは経済のペースだ」と付け加えています。ただその上でウォラー理事は、「インフレは依然高過ぎで、最近の進展が持続可能だと確信するには時期尚早だ」とも述べていました。それでも市場は発言の前半の部分に大きく反応し、ドル売りを活発にしたようです。一方ボウマン理事はソルトレークシティーで行った講演で、「私の基本的な経済見通しでは、インフレ率2%の目標まで時宜を得て低下させる上で、十分に景気抑制的な政策を維持するにはFF金利のさらなる引き上げが必要だと、引き続き想定している」と述べ、ウォラー理事とは異なる見解を示しましたが、「しかし、金融政策はあらかじめ決まった軌道にはなく、経済見通しと適切な金融政策の道筋への影響を見極めるため、今後発表されるデータを注視していく」と述べています。さらにシカゴ連銀のグールズビー総裁も講演で、「全体として、食品セクター以外ではインフレ面で進展を遂げてきた。下がってきてはいるが、まだ目標にまで低下していない。しかし、2023年はインフレ率の低下が過去71年で最大になる軌道にある」と語っています。(ブルームバーグ)個人的にも、FOMCメンバーの発言は先週同様、インフレ率の低下に安心感を見せながらもタカ派的になるのではと予想していました。しかし上記ウォラー理事のように一歩ハト派に振れると、市場はドル安方向にかなり反応する不安定さを露呈しています。
本リポート執筆中にも、ドル円は先週記録した147円15銭を割り込んできました。節目はやはり145円を割り込むかどうかでしょう。本日のドル円は146円30銭~148円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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