【為替本日の注目点】NYダウ520ドル急騰
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は再び146円台から反発。NYでは米長期金利の上昇や株価の上昇もあり148円52銭まで急伸。ユーロドルは続落。ドルが反発したことで、1.0879まで売られる。株式市場ではダウが500ドルを越える上昇。セールスフォースやボーイングが上昇をけん引。一方ナスダックは金利上昇に32ポイント安で引ける。債券は反落。長期金利は4.32%台まで上昇。金は4日ぶりに反落し、原油も売られる。
マーケット情報
新規失業保険申請件数 → 21.8万件
10月個人所得 → 0.2%
10月個人支出 → 0.2%
10月PCEデフレータ(前月比) → 0.0%
10月PCEデフレータ(前年比) → 3.0%
10月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.2%
10月PCEコアデフレータ(前年比) → 3.5%
11月シカゴ購買部協会景気指数 → 55.8
10月中古住宅販売成約件数 → -1.5%
ドル/円 147.21 ~ 148.52
ユーロ/ドル 1.0879 ~ 1.0950
ユーロ/円 161.14 ~ 161.94
NYダウ +520.47 → 35,950.89ドル
GOLD -9.90 → 2,057.20ドル
WTI -1.90 → 75.96ドル
米10年国債 +0.071 → 4.326%
本日の注目イベント
日 10月失業率
中 11月財新製造業PMI
独 独11月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏11月製造業PMI(改定値)
英 英11月製造業PMI(改定値)
米 11月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
米 11月ISM製造業景況指数
米 11月自動車販売台数
米 パウエル・FRB議長、クックFRB理事、グールズビー・シカゴ連銀総裁、討論会に参加
米 バー・FRB副議長講演
加 カナダ11月新規雇用者数
加 カナダ11月失業率
ドル円は再び146円台から急反発し、NYでは148円台半ばまで上昇しました。昨日夕方の時点では多くのテクニカルでドル下落を示唆しており、「ドル高トレンドの転換」の可能性があると、個人的には予想していました。日足では「一目均衡表」でローソク足が雲を下抜けしており、「MACD」でもマックDとシグナルの両線が「マイナス圏入り」しており、トレンドの転換を強く意識しましたが、NYでは予想に反してドルが大きく買われています。米長期金利の上昇に加え、ダウが520ドル急騰し年初来高値を更新したことでリスクオンが強まり円が売られたようです。結局ドルが戻したことで、ローソク足は雲の下限に絡んだだけで完全に下抜けしなかったことになり、見方を変えれば今回も「雲の下限近辺で下落が止められた」と言えます。ただこのまま再びドルが上昇軌道に戻るかどうかは不明です。特に今日はパウエル議長など、要人の発言機会も多くあり注意は必要です。
注目の10月のPCEコアデフレータは前年同月比で「3.5%」と、前月の「3.7%」から伸びが鈍化していました。個人消費支出も、ともに前月比「0.2%」で伸びが縮小しています。さらに失業保険申請件数も小幅に増加し、継続受給者数は約2年ぶりの高水準となっています。インフレ率が着実に低下し、労働市場でもこれまでのひっ迫感が徐々に和らいで来たことがうかがえます。全体的に見れば、やはり今後も追加利上げの可能性は後退していくと見ていいと思います。ただそれでもNY連銀のウィリアムズ総裁は講演で、「金利は過去25年で最も景気抑制的だと推定される。バランスを完全に取り戻し、インフレ率を当局の中長期的目標である2%へと持続的に低下させ、景気抑制的なスタンスをかなりの期間維持するのが適切になると想定される」と述べています。またサンフラシスコ連銀のデーリー総裁はドイツ紙とのインタビューで、インフレ率は依然として高すぎ、勝利宣言は時期尚早だとした上で、「政策は非常に良い位置にある。われわれは政策金利を大幅に引き上げてきた。インフレ上昇をヘッジするような保険的な思考は現時点では必要ない。金融当局はただ忍耐強く、警戒を怠らないようにすべきだ」と話しています。ただ利下げに関しては、「私自身現時点では利下げは全く考えていない」(ブルームバーグ)と述べており、両総裁ともこれまでの政策が機能し、その効果が出ているとの認識を示しながらも、慎重な姿勢を維持していました。
「OPECプラス」は日量100万バレルの追加減産で合意しました。合意したにもかかわらず昨日のNYではWTI原油は売られています。サウジアラビアが同規模の自主減産を継続するとしたものの、アンゴラは新たな生産枠を拒否し、これを上回る生産を行う意向を示したことと、減産はすでに予想されていたことが売りにつながったようです。
ドル円はNYでは148円台半ばまで買われましたが、本リポート執筆時時点では148円前後まで押し戻されています。このパターンは昨日も見られましたが、NYではドル高に振れるもののその後は続かず、市場も方向を決めかねていることがうかがえます。「MACD」では依然としてマイナス圏への動きを見せていることもあり、まだドルの上値は重いと見るべきでしょう。
本日のドル円は147円~148円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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