【為替本日の注目点】米12月のPPI予想に反して下落

為替

サーチナ

2024/1/15 10:18

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 米12月のPPIが予想に反して前月比で下落していたことで、ドル円は145円35銭近辺から売られる。1円程下落したが、その後やや値を戻して引ける。ユーロドルは小幅に水準を切り下げ1.0937まで売られる。株式市場ではダウが売られたものの、他の2指数は小幅に上昇するなど、まちまちの展開。債券はPPIの下落を受け上昇。長期金利は3.93%台に低下。金は6日ぶりに大幅反発。原油も続伸。

12月生産者物価指数 → -0.1%(前月比)、1.0%(前年同月比)

マーケット情報

ドル/円 144.35 ~ 145.56

ユーロ/ドル 1.0937 ~ 1.0987

ユーロ/円 158.54 ~ 159.29

NYダウ -118.04 → 37,592.98ドル

GOLD +32.40 → 2,051.60ドル

WTI +0.66 → 72.68ドル

米10年国債 -0.027 → 3.939%

本日の注目イベント

欧 ユーロ圏11月鉱工業生産

欧 ユーロ圏11月貿易収支

欧 世界経済フォーラム(WEF)年次総会(スイス・ダボス、19日まで)

米 NY休場(キング牧師生誕記念日)

米 アイオワ州で共和党の党員集会、大統領選挙の予備選・党員集会スタート

 前日146円台半ばまで上昇したドル円は反落。米12月の生産者物価指数(PPI)が前月比で「-0.1%」低下したことを受け、米長期金利が低下しドル円は144円35銭まで売られています。前日発表された消費者物価指数(CPI)は、総合指数が3カ月ぶりの伸びを示し、当局のインフレ目標である2%までの「ラストワンマイル」は容易ではないといった見方が出た状況とは異なる結果でした。PPIの予想以上の低下は、直ぐに3月の利下げを後押しするものではないものの、それでも今年の早い時期に利下げを意図していると見られる米金融当局にとって心強い材料となり、安心感を与える結果になります。現時点では3月のFOMC会合での利下げ観測は、昨年12月のFOMC直後から徐々に後退してはいるものの、依然としてくすぶっている状況です。シカゴ連銀のグールズビー総裁は、「金融市場は今年の積極的な利下げ軌道を想定しているが、政策当局者らよりも先走っている可能性がある」と述べ、「市場は前後を誤っている」と指摘しています。「金利に関する判断を左右するのは実際のデータになる」と述べ、昨年12月のFOMC会合で公表された最新の経済・金利予測で、2024年に3回の利下げが実施される可能性が高いことが示された点については、「個々の予測であり、将来の政策に関するFOMC全体の見解として受け止めるべきではない」と、FOXニュースとのインタビューでけん制しています。(ブルームバーグ)

 今年は世界的に選挙の多い、「選挙イヤー」ですが、先陣を切って台湾では総統選が行われ、対中強硬派で民進党候補の頼清徳氏が勝利し、民進党が3期連続で政権を担うことになりました。頼氏は昨夜行った勝利演説で、「われわれは国際社会に対して、民主主義と権威主義の間で民主主義の側に立っていくと宣言する」と述べ、集まった観衆からは大きな拍手が送られました。また頼氏は台湾海峡の平和を維持することも表明していますが、バイデン大統領はこの日、短いコメントを発表し、「米国は台湾の独立を支持しない」と語っていました。対中強硬派の頼氏が勝利したことで、これまで以上に中国からの圧力が増すことも予想されます。米中央軍はフーシ派が26日に紅海南部で船舶への攻撃を行ったことに対して、駆逐艦や戦闘機、陸上攻撃用巡航ミサイルなどで攻撃を行ったことを明らかにしましたが、翌日の12日にも米軍はフーシ派のレーダー施設を攻撃したと発表しています。イスラエルとパレスチナ自治区ハマスの局地的紛争が、イランやイエメンなどを含め、中東全域に拡大する恐れもあります。さらに上記台湾海峡や、朝鮮半島でのリスクなど、現在行われている2つの戦争に加え、これまでにない程世界的な戦争拡大のリスクが高まっているように思われます。

 ドル円は短期的には上昇傾向を維持していると見ていますが、日足では「一目均衡表の雲」は縮小傾向で、その上限は146円81銭まで低下してきています。147円台に入るようだと雲抜けを完成させ、一段と上昇する可能性もないとは言えない状況です。日銀の金融緩和政策の修正は動かないものと見ていますが、それでも元日に起きた能登半島地震での大規模な被害で、修正時期が先送りされるといった観測も支持されつつあります。先入観を持たずにチャートの示すサインをしっかりと見極める必要があります。

 本日のドル円は144円30銭~145円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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