<新興国eye>ロシア中銀、予想通り金利据え置き―市場は9月までに利下げと予想
2024/3/25 9:20
ロシア中央銀行は先週末(22日)の金融政策理事会で、インフレ上昇圧力を抑制するため、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利を16.0%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。
中銀は通貨ルーブル安とそれに伴うインフレ再加速を抑制するため、23年7月会合で、ウクライナ戦争開始(22年2月24日)以来、1年5カ月ぶりに利上げ(1.0ポイント)に踏み切った。しかし、前回2月会合で23年6月以来、8カ月ぶりに据え置きに転換、利上げサイクルを5会合連続で止めた。これで据え置きは2会合連続となる。ただ、利上げ幅は計8.5ポイントに達しているため、依然、16.0%の現行金利は22年4月以来、1年11カ月ぶりの高水準。
中銀は据え置き決定について、前回会合時と同様、「現在のインフレ上昇圧力は徐々に緩和しているが、依然として高い。需要は依然、財やサービスの供給能力を上回っており、ディスインフレ(物価上昇率の低下)傾向が持続可能かの判断は時期尚早」とし、その上で、「中銀の金融政策はインフレ率が24年に物価目標(4.0%上昇)に収束し、その後、4.0%上昇近辺で安定的に持続することは金融引き締め状況が長期間維持されることを前提としている」とし、利下げ転換はまだ先との見通しを改めて強調した。
市場では今後、ロシア・ウクライナ戦争が主要酪農地帯のベルゴロドやクルスクなど両国の国境地域で激化、ガソリンやディーゼルなどの燃料や食料品の価格高騰が予想されることから、中銀はインフレ上振れリスクを避けるため、金利据え置きを決めたと見ている。
また、中銀は将来の利下げ転換の可能性については言及しなかったが、市場ではロシア経済は依然好調なため、中銀は利下げを急ぐ必要はないと見ている。ただ、インフレ減速が進めば、早くて4-6月、遅くとも9月までに利下げを開始すると予想している。これまでもエリビラ・ナビウリナ総裁はインフレ鈍化の確証があれば、利下げ開始は24年下期になる可能性が高いとの見方を示している。
インフレ見通しについて、中銀は2月会合で公表した最新の経済予測で、24年末時点は前年比4.0-4.5%上昇、25年末は同4.0%上昇と、物価目標に収束。26年末も同4.0%上昇で安定すると予想。ちなみに23年末は同7.4%上昇だった。
中銀は今回の会合でもインフレリスクについて、「中期的にはインフレリスクは依然、上向き」とした上で、主なインフレ上振れリスクとして、「地政学的な緊張の結果(西側の対ロ制裁など)による貿易条件の変化や、インフレ期待の高止まり、ロシア経済の上振れ懸念、財政健全化の道筋(政府補助金支出の動向)と関連している」とし、警戒感を緩めていない。財政健全化については、中銀は財政赤字の拡大により、インフレ上昇リスクが再び高まることを懸念している
最新の経済予測の景気見通しは24年が同1.0-2.0%増、25年も同1.0-2.0%増、26年は1.5-2.5%増と予想。ちなみに23年は同3.6%増だった。中銀は声明文で、「金融引き締めにもかかわらず、高い内需を背景にインフレ圧力は依然として高まっている」としている。
次回の定例会合は4月26日に開かれる予定。
<関連銘柄>
RTS連動<1324.T>、WTI原油<1671.T>、ガス<1689.T>、
提供:ウエルスアドバイザー社
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