<新興国eye>インド準備銀行、5対1の賛成多数で金利据え置き―タカ派姿勢を維持(1)

新興国

2024/4/8 9:13

 インド準備銀行(中銀)は前週末(5日)の金融政策決定会合で、インフレ上昇を抑制し、景気を支援するため、流動性調節ファシリティー(LAF)の主要政策金利であるレポ金利(中銀の市中銀行への翌日物貸出金利)を6.50%に据え置くことを5対1の賛成多数で決めた。市場の予想通りだった。

 5対1の賛成多数による据え置き決定は前回2月会合に続き、2会合連続。今回の会合でもジャヤント・R・ヴァルマ委員だけが0.25ポイントの利下げを主張、反対票を投じた。

 また、中銀はレポ金利の据え置きに伴い、金融システムから余剰流動性を吸収するため、金利の上下幅(コリドー)についてもLAFのリバースレポ金利(市中銀行の中銀への預金金利)を6.25%、市中銀行が資金ひっ迫時に中銀から政府債を担保に資金を借りることができる流動性供給スキーム「MSF(マージナル・スタンディング・ファシリティー)」と公定歩合をそれぞれ6.75%に据え置いた。

 中銀はインフレの急加速を受け、22年5月4日の臨時会合で0.40ポイントの緊急利上げに踏み切り、23年2月会合まで6合連続で利上げを実施、利上げ幅は計2.50ポイントに達した。同4月会合から据え置きに転じ、これで据え置きは7会合連続。6.50%の金利水準は18年以来4年ぶりの金融引き締め水準となっている。

 また、中銀は今後の金融政策のスタンスについて、6委員中、大半の5委員(前回会合時も5人)が前回会合時と同様、「引き続き、成長を支援しながら、インフレが徐々に物価目標に収束するよう金融緩和の撤回(金融引き締め)に引き続き注力する」とし、利上げサイクルの終了宣言は時期尚早とし、一時休止の判断を示した。ただ、ジャヤント・R・ヴァルマ委員だけが今回の会合でも中立スタンスをとった。

 金利据え置きを7会合連続で決めたことについて、中銀は声明文で、前回会合時と同様、「これらの決定はインフレ率を中期の物価目標である2.0-6.0%上昇(中央値4.0%上昇)の範囲内に戻し、経済成長を支援するという中銀の目的と合致する」としたが、「食品価格の変動(上昇)や、不透明な国際環境(地政学的リスク)による原油価格と金融市場の価格変動はインフレリスクとなっている」とした上で、「インフレ率が持続的に4.0%上昇の物価目標に達するまでディスインフレ傾向を維持する必要があるため、金利据え置きを決めた」としている。

<関連銘柄>

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