<特集>新NISA活況、優待・分割で個人投資家へアピール合戦(2)

株式

2024/4/26 9:02

 セブン&アイ・ホールディングス(7&iHD)<3382.T>

 7&iHDは、3月1日付で1対3の株式分割を実施、最低投資額を引き下げ、少額の資金でも買いやすくなった。また、配当は持続的な利益成長に合わせ増配していく「累進配当」を導入、利益からどの程度を株主へ還元するか示す指標である総還元性向は50%以上(23年度から25年度累計)を目標としている。25年2月期の予想1株配当金は40円(前期は実質37.6円)に増配し、予想配当利回りは2.03%(4月18日終値時点)となっている。23年12月1日から24年5月31日まで7500万株(発行済株式総数の2.83%)、1100億円を上限とする同社設立以来最大規模となる自社株買いを行っている。

 さらに、4月10日には24年2月期連結決算と同時に株主優待制度を導入すると発表した。保有株式数や継続保有期間に応じて同社グループ共通で利用できるセブン&アイ共通商品券、または社会貢献活動団体への寄付を選択できる。優待の商品券は、国内約2万2800店舗(一部を除く)で使える商品券で、グループ商品の買い物や食事に使える(セブン‐イレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、アカチャンホンポ、デニーズ、ロフトなど)。有効期限を気にせず利用できるなど利便性が非常に高い。初年度は8月末と2月末の2回もらえる点もポイントだ。優待利回りは1.01%(100株以上、継続保有3年未満の場合)と、配当と合算した総還元利回りは3%に相当する。

 三井不動産<8801.T>

 三井不も株主還元に積極的だ。同社は3月1日に株式分割と株主優待制度の新設を公表した。3月末基準で1株を3株に分割したほか、所有株数に応じて、ららぽーとや三井アウトレットパークなどの対象施設、三井ショッピングパーク公式通販サイト「&mall」などで使えるポイントを贈呈する。

 さらに、4月11日には24年3月期の予想1株配当を従来予想の72円から82円へ増額(前期実績は62円)し、予想配当利回りは1.67%(4月18日時点)となった。同社も資本効率の向上を目的とした自己株式取得を行うほか、総還元性向は親会社株主に帰属する当期純利益の45%程度を目途とする方針を示す。

 オリエンタルランド(OLC)<4661.T>

 OLCの株主優待は人気が高い。「東京ディズニーランド(TDL)」、または「東京ディズニーシー(TDS)」いずれかの施設で利用可能な1デーパスポートがもらえる。3月末のみでは500株以上の保有(3年継続保有株主は100株以上)と条件は付くものの、優待を目当てに株主になる投資家は多い。

 もっとも500株の場合、最低投資金額は226万円と比較的大きな額の初期投資が必要となるため、ハードルは高め。また、1デーパスポートの大人平日の料金7900円ベースの優待利回りは0.35%とやや低い。24年3月期の予想1株配当は11円で、予想配当利回りは0.24%とこちらも低水準。ディズニーファンにはたまらないが、利回りという観点からは、魅力に欠ける面がある。

 東映アニメーション<4816.T>

 一般消費者になじみが深い企業では、東映アニメも株主還元を積極化させている。東映アニメは、21年12月20日に、「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を提出、定期的にその進ちょく状況を公表している。そんな中、24年1月29日に24年3月31日を基準日とする1対5の株式分割を発表、最低投資金額が小さくなったことで、投資のハードルが下がった。また、同社の優待株主優待は、優待限定描き下ろしの人気キャラクターがデザインされたクオカード。こちらも、各キャラクターのファンにはたまらない上、クオカードは高い換金性がある。

 森永製菓<2201.T>

 もう1社なじみのある企業でいうと森永菓は23年12月31日を基準日とする1対2の株式分割を行ったほか、24年2月には株式の消却(消却前の発行済株式総数に対する1.28%)を実施している。値上げ効果などもあり業績は好調に推移し、24年3月期連結業績予想を上方修正したほか、1株配当を前回予想の52.5円から55円に増額した。

 株主優待は9月末の株主を対象に、同社製品の詰め合わせ、または同額の寄付を実施しており、株主還元に積極的だ。

提供:ウエルスアドバイザー社

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