臨時FOMC、全員一致で0.50ポイントの緊急利下げ決定―新型コロナウイルス感染拡大で

FOMC

2020/3/4 10:17

<チェックポイント>

●「金融緩和で家計や企業の景況感押し上げ」―パウエルFRB議長

●次回3月17-18日FOMCでの追加利下げ観測強まる

●「もっと引き下げるべき」―トランプ米大統領

 FRB(米連邦準備制度理事会)は3日、臨時のFOMC(米連邦公開市場委員会)を開き、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を0.50ポイント引き下げ、1.00-1.25%とすることを全員一致で決めたことを明らかにした。中国で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)の経済へのリスクを考慮し、景気を下支えすることが目的。

 利下げは19年10月以来、5カ月ぶり。また、緊急利下げとしてはリーマン・ショック直後の08年10月8日以来11年5カ月ぶりとなる。当初、市場では次回3月17-18日の定例FOMCで、0.50ポイントの利下げを実施すると予想していた。大幅利下げを受け、ニューヨーク証券取引所では主要株価指数であるダウ工業株30種平均が一時400ドル近く急騰したが、すぐに上げ幅を削り、785ドル安で取引を終えるなど値動きの荒い展開となった。

 今回の大幅利下げにもかかわらず、株価が急落したのは、すでに、市場が0.50ポイントの利下げを100%織り込んでいたためとみられる。

 パウエルFRB議長は会合後の記者会見で、「新型コロナウイルス感染の拡大が広範囲にわたってきていることから、経済の見通しへのリスクと判断し、利下げを決めた」と述べた。また、今回の利下げにより、感染拡大によって寸断されたサプライチェーン(部品供給網)を修復することはできないことを認めた上で、「利下げにより、金融環境が緩和し、家計や企業の景況感が押し上げるのに寄与する」と述べた。また、声明文では、「今後の動向や経済見通しへの影響を注視し、経済を支えるため、金融政策手段を通じて適切に対応する」と追加利下げの可能性に含みを残した。

 市場では、FRBが今回の0.5ポイント利下げでは不十分と判断すれば、3月17-18日のFOMCで追加利下げを行うか、または、6月までにさらに0.25ポイントの追加利下げを行うとみている。

 一方、トランプ米大統領はツイッターで、「0.50ポイントの利下げでは十分ではない」とさらなる利下げをFRBに求めた。また、「米国だけが利下げするのは米国にとってフェアではない」とし、FRBが各国の中銀と協調して利下げすべきとFRBに対し、協調利下げを模索する努力を求めている。

 これより先、G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)による電話会談が3日に行われ、新型コロナウイルス感染拡大に対する協調行動に関する共同声明が発表された。声明では、「感染拡大による世界経済への影響を考慮し、各国の財務省は必要な場合、財政措置を含む対策を協調して行動する準備がある」などとしたが、市場では具体的な財政出動や協調利下げについての表現が盛り込まれていなかったことへの失望感が高まったとの見方が広がっていた。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545>、NYダウ投信<1546>、上場米国<1547>、

 SPD500<1557>、NYダウ<1679>、NYダウブル<2040>、

 NYダウベア<2041>

(イメージ写真提供:123RF)

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