<新興国eye>ブラジル中銀、予想通り金利据え置き―据え置き継続を示唆

新興国

2023/6/26 9:22

 ブラジル中央銀行は先週(21日)の金融政策決定委員会で、コアインフレ率が高止まりしているとして、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を現行の13.75%という高水準に据え置くことを全員一致で決めた。据え置きは市場の大方の予想通りだった。

 中銀はインフレの急加速を受け、21年3月会合で15年7月以来、5年8カ月ぶりに利上げに転換。22年8月会合まで12会合連続で利上げを実施、利上げ幅が21年3月以降で計11.75ポイントに達したことを受け、同9月会合から現状維持に転換した。金利据え置きはこれで7会合連続。政策金利は16年12月(13.75%)以来6年5カ月ぶりの高水準となっている。

 中銀は会合後に発表した声明文で、金融引き締め的な高水準にある現行金利を据え置いたことについて、「最近のインフレ率の低下にもかかわらず、中銀は今年下期、対前年比のインフレ率(全体指数)は上昇すると予想している。また、コア指数は依然として物価目標を上回っている」とした上で、前回5月会合時と同様、「現在の状況は、インフレ期待が悪化(上昇)、ディスインフレ(インフレの低下)ペースが鈍化傾向にあるため、引き続き注意を払う必要がある」と、インフレ懸念を強調、政策金利の据え置きを決めたとしている。

 インフレ見通しについては、中銀は声明文で、「23年のインフレ率は5.0%上昇(前回会合時は5.8%上昇)、24年は3.4%上昇(同3.6%上昇)と予想している」とし、23-24年の年間インフレ見通しを引き下げたものの、24年も物価目標を超えると予想している。ちなみに、中銀の物価目標は23年が3.25%上昇、24-25年は3.00%上昇。

 今後の金融政策については、中銀は、「政策金利を十分に長期間維持する戦略がインフレの収束を確保する上で十分であると判断した」とし、当分の間、現状維持を続けたい考え。また、中銀は前回会合時と同様、「ディスインフレ(物価上昇率の低下)のプロセスが定着、インフレ期待が物価目標近辺で定着するまでこの政策(現状維持)を続ける。現在のシナリオでは金融政策の実施では忍耐と平穏が求められる」とも述べている。

 ただ、中銀は、前回会合時に使った、「可能性は低いシナリオだが、ディスインフレプロセスが期待通りに進まない場合、金融引き締め(利上げ)サイクルの再開を躊躇しない」との文言を削除した。利下げ転換に近づいた可能性を示している。しかし、それでも中銀は、「金融政策の次のステップはインフレ率の動向や長期予測、インフレ期待の長期見通し、アウトプット・ギャップ(需要量が供給量を上回ったインフレギャップ)に依存する」とし、利下げ転換には慎重な姿勢を崩していない。

 他方、市場では5月のインフレ率が前年比3.94%上昇に低下、物価目標の範囲内に入ったことから、今後、インフレ期待やコアインフレが低下すれば、次回8月会合か9月会合で0.25ポイントの利下げに転換する可能性があると予想している。

 次回の金融政策決定会合は8月2日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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