<新興国eye>前週の上海総合指数、景気対策期待や李強首相の景気強気見通し受け反発=BRICs市況

新興国

2023/7/3 9:03

 前週(6月26-30日)の中国株式市場は主要指標である上海総合指数が週間ベースで反発。30日は3202.06(21日終値比0.13%高)だった。

 週明け26日は指数が下落、4営業日続落となった。27日は急反発。28日は横ばい(小反落)。29日は続落した。

 週前半は、足元の経済指標が低迷する中、前週の「端午節」の3連休中の観光旅行者数がコロナ禍前の19年を上回ったが、旅費支出額は19年水準に達しなかったため、景気回復懸念が強まり、売りが優勢となった。また、米信用格付け大手S&Pグローバル・レーティングスが中国の23年GDP伸び率見通しを5.5%増から5.2%増に下方修正したことや、通貨人民元の下落が進み、中国人民銀行(中銀)が元相場の取引の基準値(レファランス・レート)を元安方向に設定したことで資金流出懸念が強まったことも売り材料となった。

 その後は、これまでの急激な相場下落を受け、安値拾いや値ごろ感による買い戻しが活発化した。また、元安に歯止めがかかったことや、李強首相がスイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラムで、4-6月期の経済成長率が前期を上回るとの見通しを示した上で、内需拡大や市場の活性化、市場開放に向けて対策を打ち出す方針を示したことも支援材料となった。

 週後半は、1-5月工業部門企業利益が前年比18.8%減となったことや、米国のバイデン政権がAI向け高性能半導体の対中輸出規制を検討しているとの観測報道が嫌気されたが、李強首相が23年の5%増の経済成長は可能と発言したことで、国内景気の減速懸念が和らいだことも相場を下支えした。その後は、元安が進んだため、資金流出への警戒感が強まり、売りが優勢となった。また、不動産株が政府からの支援策がないとして、下落、相場を下押しした。

 週末30日は反発。国家統計局が発表した6月中国製造業PMI(購買担当者景気指数)が好不況の分かれ目となる50を3カ月連続で下回ったことを受け、景気対策期待が一段と高まり、買いが広がった。

 今週(3-7日)の株式市場は台湾情勢やハイテク産業を巡る米中関係、世界経済の動向、海外の金融市場の動向、国内では景気対策、人民元相場、石炭や原油などのコモディティー相場も注目される。主な経済指標の発表予定は3日の6月CAIXIN(財新)中国製造業PMI(購買担当者景気指数)や5日の6月CAIXIN中国サービス業PMIなど。

<関連銘柄>

 上証50連動<1309.T>、上場パンダ<1322.T>、上場チャイナ<1548.T>、

 H株ブル<1572.T>、H株ベア<1573.T>、中国A300<1575.T>、

 南方A50<1576.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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