<新興国eye>前週のブラジル株、利食い売りや国営石油ペトロブラスの急落を受け反落=BRICs市況

新興国

2023/7/31 9:06

 前週(24-28日)のブラジル株式市場は28日のボベスパ指数が前日比0.16%高の12万0187.1、週間ベースでは21日終値比0.02%安と、反落した。

 週明け24日は指数が上昇。26日まで5営業日続伸した。27日は急反落。

 週前半は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策決定会合や、国内ではインフレ率など重要な経済指標の発表を間近に控える中、通貨レアル高となったことが好感され、プラス圏で引けた。その後は買いが一段と強まった。ブラジル中銀の経済週報「フォーカス・ブルティン」で、IPCA(拡大消費者物価指数)で見た23年のインフレ見通しが前週予想の4.95%上昇から4.90%上昇に引き下げられたことに加え、7月中旬時点のIPCAが前月比0.07%低下(前年比3.19%上昇)に伸びが鈍化、市場予想(0.01%低下)より低下幅が大きかったことを受け、2日の中銀の金融政策決定会合で0.50ポイントの利下げ観測が強まったことが背景。

 週後半は、FRBが予想通り、0.25ポイントの追加利上げを決めたあと、パウエルFRB議長が会見で、米経済のリセッション(景気失速)はもはやないと発言したことや、FRBとECB(欧州中央銀行)の利上げサイクルの早期終了観測が好感され、買い優勢となった。また、米英大手信用格付け会社フィッチ・レーティングスがブラジルのソブリン債格付けを5年ぶりに「BB―」から「BB」に引き上げたことも買い材料となった。

 その後は、指数の構成ウエートが高い国営石油ペトロブラスが5%超急落、下げを主導した。ブラジルの原油生産量の減少や、同社の配当政策への悪影響が嫌気された。また、前日、指数が約2年ぶりの高値を付けたため、高値警戒感から利食い売りも強まった。

 週末28日は小反発。ブラジル中銀の金融政策決定会合を翌週(2日)に控える中、買いが優勢となった。4-6月期失業率が8.0%と、前期の8.8%を下回り、14年の6.9%以来9年ぶりの低水準となったことが支援材料となった。ただ、鉱山大手ヴァーレが急落したため、上げは限定的となった。

 今週(7月31日-8月4日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策、ブラジル中銀の金融政策決定会合(2日)なども注目される。主な経済指標の発表予定は1日の6月鉱工業生産と7月貿易収支、2日の7月IPC-Fipeインフレ指数(サンパウロ大学経済研究所(FIPE-USP)が発表する消費者物価指数)、3日の7月S&Pグルーバル・ブラジル非製造業PMI(購買担当者景気指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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